[コメント] 緋牡丹博徒 花札勝負(1969/日)
本作の情感は類作から頭ひとつ抜けている。脇役端役を腰を据えて描く、しかも藤純子の造形深化との往還において描くという方法が徹底されているためだろう。スキップだらけのフィルムは痛々しい。復旧を乞う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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沢淑子の偽お竜はポイント高く、珍しい山本麟一の善人役も好演。健さんの潔さも素晴らしく、渡世の義理でござんすと嵐寛に刃を向ける辺りの虚しさが際立っている。そして何といっても矢野竜子の凛とした佇まいは冒頭の仁義から圧倒的である。加藤泰はお竜中心のドラマになるよう、脚本を自分で書き直したらしい(キネ旬増刊による)。
若山富三郎らの則文ギャグが控え目なのもこの際好ましい。一番ウケたのは藤山寛美の名古屋弁。大須に万松寺に堀川と、名古屋の地名連発も愉しい。セットは貧乏だが味がある。三度登場しその度に汽車の煙が流れる鉄橋下の川は堀川。健さんの故郷は若狭の設定。
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