[コメント] 風の谷のナウシカ(1984/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
(映画は見たけれど、原作を読んだことのない方のために)
ラストで、ナウシカは子オウムと一緒にオウムの群れの先端に立ちます。その時のナウシカは、一体どのような気持ちだったのでしょうか? 映画だけ見ている限りでは、人間の争いに森を巻き込んだことに対しての、人間からの贖罪のように思われます。「ごめんなさい。おわびとして私が死ぬわ!」
しかし、原作を読んだ後にはきっとその気持ちが変わると思います。興奮したオウムは、子オウムも気にすることなく突進し続け、ナウシカはその足にはね飛ばされます。目前に迫るオウムの群れを見ても、彼女の表情は平静を保っています。それは、おわびなどという理由で死を選ぼうとしている人間の表情ではありません。
そういったことや、腐海やナウシカたちの存在している理由(本来、生命が存在するのに理由など必要ないはずであるのに、こう書きます)などを理解した後に、もう一度ナウシカを見てください。細部に渡ってまで「ああそうか」とすっと分かるのです。
映画版ナウシカは実に説明の少ない映画のように思われますが、実際にはきちんとポイントは押さえてあるということに、原作を読んで初めて気付きました。そして、原作を読む前よりも、読んだ後の方がずっと切なくなりました。きっといろいろなことが迫ってくる映画だからなのだと思います。
(これで終わってはあまりに漠然としているので、一つだけ。オウムの群れの前に立ったナウシカは、きっと「オウムになりたかった」んだと思います)
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