[コメント] 冷静と情熱のあいだ(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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私、ものすごく号泣してしまったんですが。お恥ずかしながら。最初は正直言って「どうせテレビドラマに毛が生えた程度なんでしょ」なんて感じで少し拒否反応を起こしていたのもあって、全くストーリーに入り込めなかったし、取って付けたような設定もわざとらしくて好感が持てませんでした。それがどんどんあおいに感情移入してしまって、意地の張り方とか逆にいじらしく思えたりもしました。あおいの会話が日本語と英語を使い分けているところなんかは、私は本音でない言葉は英語で言っているんだろうな…なんて思いながら観ていたのですが、あの言葉の使い分けは巧いと思いました。
それからベタですが、手紙を読みつつの回想シーンのくだりなんかは自分の大学時代と重ね合わせたりして(ああ。こんな風に手が触れただけでドキドキしたりしたなぁ…)とか(初めて部屋に行った時は何故かやけに焦って挙動不審になったよなぁ…)とか、勝手に彼らと自分をリンクさせて胸が熱くなりました。二人にとって、二人しか知らない、二人だけの「特別な何か」があったのもとても良かったです。この二人の場合は音楽だったけど、世の恋人たちが必ず持っている「自分たちだけにしか分からない特別な何か」。それを表現していたのもとても良かった。
実は辻も江國も苦手なので小説の方は未読なのですが、逆に原作を知らなかったのも良かったのかも知れません。なので、原作のラストがどうなっているかは分からないのですが、私は映画のラストも非常に気に入っています。
私的な事なのですが私も90年代半ばから付き合っている人がいて、そろそろ10年に達しようかというところです。この映画は長年同じ人を思い続けた人にとっては、相当ヤラれる映画だと思います。特に私の場合、周囲の存在を気にしすぎて恋そのものに溺れる事が出来ずににいるので、この二人の周囲を気にしない自由奔放さが少し羨ましくもあったのかも知れません。恋は常に傷つけ、傷つけられるものですからね。許容範囲はあるにしろ。
私も今さらながら他愛ない10年後の約束でも交わそうかな。もしこの先離れ離れになる事があっても、この二人のように約束は忘れずにいたいなぁ。
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