・（これはmalさんが既に指摘されていますが）ミスディレクションがあると謳いながら、実は無いというビッグな罠。

・冒頭「ハリウッドはクソみたいな映画ばかり」と言わせておきながら、実は当人の映画が‘みたいな’どころか、ど真ん中のクソ映画という衝撃の罠。

・正義論の時に「視野が狭いな」と言ったご本人の正義に関する視野の狭さと古さが実は天然記念物級というグレートな罠。

まぁ、どれも見る前から何となく嫌な予感としてあったけどね。

冒頭のシーンから演出力の無さに失望して冷めて、そのまま全編ノリが悪い限り。DVDレンタルで見たのだけれども、見終わってあまりにアホらしかったので、「監督、真面目なのか？もしかして風刺のつもり？」と思い、音声解説を聞くと、どっこい当人は呆れるほど大真面目。全部聞いていると馬鹿になりそうだから、飛ばしながら最後の方だけ聞くと、「ここでまたどんでん返しだ」（え、あったの！？）とか、「ビン・ラディンやフセインこそ本当の敵だ」とか言ってるし、この監督はアホでマヌケもいい所。それで自信過剰なのだから始末が悪い。監督は本気でガブリエルが正しいと思っているらしいが、「アメリカの自由のため」にアメリカ国民をも殺しアメリカの敵と戦う奴等が、「イスラムのため」にイスラム教徒を搾取しアメリカと戦う奴等より正しいだなんて主観的過ぎるよ。所詮どっちも道を外れたアホだ。だいたい、何故銀行強盗？あんな大胆に暴れられるなら、もう少し効率の良い集め方ぐらいあるだろう。

あと、これはよく言われてるけど、ハッキング関連の描写・会話がどこか変。もちろん素人だから詳細は知らないけど、会話中の専門用語の使い方とかには違和感がいくつかあり、すんなり納得出来ないし、ハッキングシーンも子供騙し臭すぎる。それなのに、例によって監督は「ヒュー・ジャックマン演じるハッカーはウィリアム・ギブソン系のハッカーだ。暗いPCオタクという従来のありがちなイメージと違い斬新だ。」などと自信満々。今更サイバーパンク小説の影響が無いハッカー像の方が珍しいだろうが！！

あと、ハル・ベリーの無駄脱ぎ、追加のギャラの噂があるらしいが、あんな色気の無いシーン（彼女の責任ではなく、監督の演出の問題ね）に大金を払ったなんてもったいないんじゃないの。

とにかく、監督が最低。愛すべきダメ野郎とも程遠く、嫌悪感すら抱いた。「最高傑作が出来た」とか口にしていた事だから、これで満足して引退して故郷にでもとっとと帰って下さい。