[コメント] かあちゃん(2001/日)
照れる崑。
市川崑監督の喜劇演出力の衰えは深刻なものとなってきている。山本周五郎原作のこの手のド人情話は泣かせる前に、必ず、笑わさなければならないのだが、それが決定的に出来てない。要するにギャグが全然面白くないのだ。暗い画面の影響もあるだろうが、主たるは演技力・演出力の問題だろう。岸さんは凛とした雰囲気は合っているが、”おかつ”を演じるには一寸”かつぜつ”が悪過ぎた。原田龍二は表情に乏しく話しにならない。
そもそも市川崑に山本周五郎映画化なんて無理なのだ。銀残ししかり、和田誠のタイトルバックしかり、主題歌しかり、スタイリッシュに見せかけようとするくらいなら、照れて斜に構えるくらいなら、こんなド人情話、撮らなくていいと思う。
「四騎の会」で山本周五郎を本気で撮れるのは、結局、クロサワ、そして小林正樹の二人だけで、シニカルでアイロニカルな木下と、洒落者の市川にまともなものを撮れる筈も無いのだ。で、撮れる二人はもう死んじまったんだから、もう止めれば?ってはなしなのだ。それを、たまたま生き残ったからって柄にも無い山本周五郎原作を二作も続けて映画化するなんて、それこそ時間の空費というものだ。
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