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[コメント] ハリー・ポッターと賢者の石(2001/英=米)

脚本による推理系描写は面白かったのだが、作品全体から漂うスピリッツが伝わって来なかったのが痛い。
さいた

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず、個々のエピソードでのキャラクター描写が足りない。それぞれの人物の個性が出し切れないままに物語りが進行して行くので、どうしても感情移入し難い創りになってしまっている。原作を読んでいる人は、その点は補えるので有利かもしれない。

人間関係が浅いのも頂けない。優秀な血筋を継いだ優秀な良い子ハリー。家柄が良くないと言われているが人間性だけは良いロン。魔法の事が詳しくて高慢で生意気なハーマイオニー。この性格設定だけで物語りは進行してしまい、人間関係が全く描かれていないのは不味いのではないだろうか?同じ寮(グリフィンドール)と言うだけでは、ただのクラスメイトと言う繋がりと同じなのである。それにマルフォイがハリーに対抗心剥き出しな理由も深く突っ込んではいない。

色々挿入されていたエピソードにも問題あり。例えばクィディッチと言う魔法スポーツも、友達との仲間意識とかスリザリンとの対抗心を構築せずに戦ったのでドキドキしない。強い望みが写る鏡の中で亡くなったパパとママが出てくるシーンも、生前のエピソードが無いので何を伝えようとしているかが伝わり難い。ハグリッドのドラゴンが居なくなった時も、ハングリッドによるドラゴンへの愛情が描かれて無かったので悲しみが伝わらない。悪の象徴であるヴォルデモートがハリーを殺そうとしている理由も描ききれていない。こんな感じで感情の伏線が皆無の作品だから感情移入が出来ない点が多い。ただし犯人を推理する為の状況描写の伏線だけは色々な場面に散りばめられている。以上から、心理描写よりも状況描写を中心に描いてしまった中途半端な作品と言える。

危機の解決方法も御都合主義で解決する部分が多い気がする。行き当たりばったりの魔法を使って、ちょちょいのちょい!又は新キャラの登場で助かる。そんな感じで脈絡無く登場した新魔法で解決させる脚本は情けないと思う。もう少し知恵と言う物を駆使して戦うなり逃げるなりして欲しい。それに子供達の疑問点は馬鹿なハグリットが口を滑らして疑問解決と言う展開もどうかと思う。(子供向けギャグとしては許せる範囲だけど)これも御都合主義の一種かもしれない。

最後に・・・。テーマは何だったのか?ラストシーンでの取って付けたような「愛」という台詞がテーマのキーワードだとしたら、僕は納得なんて出来ないし、だいたい「愛」なんて作中で描かれていないような気がする。僕には優等生が優等生らしく賢者の石を見つけて悪を倒し、学校ではポイントを稼ぎ、優勝すると言う、愛も努力も希薄な作品にしか見えませんでした。

‐‐‐‐‐(以下、追記)‐‐‐‐‐

はしぼそがらす様, PeacefulLife様, ボイス母様.御投票を有難う御座いました。

前レビューでは3点を付けてしまいましたが、思うところがあり2点に変更させて頂きました。3点だった理由は、移動する階段とか、動く絵とか、天井に浮かぶ蝋燭と夜空とか・・・etc.そんな美術に魅力を感じてしまったので、ついつい甘目の点数になってしまった訳です。・・・が、レビューから半日、僕の熱い血潮が「この作品だけは許してはならない!」と訴え掛けるのです。いつもは理性的にレビューをしようと心がけてはいるのですが、ハリー・ポッターだけは投票の数を減らしてでも、言いたい事を書かなければ気分が晴れないので、乱暴と承知しながらも感情的に追加レビューします。

では、いきます!

どうしても許せないのが、ハリーの性格。ファンタジーの主役としての資質も欠片もありゃしない!義兄弟が大蛇のガラスの檻に閉じ込められた時にヘラヘラしてていいの?たとえ苛めっ子でも、大蛇と一緒の檻にいれば殺されるかもしれないんだよ!頼むよハリー、相手の立場になって考てくれ!キャンデキャンディだって虐められても相手(苛めっ子)の事は人として考え続けたんだぞ!嫌いな奴でも命は大切にしたんだぞ!

賢者の石を獲りに向う途中のチェスの死闘の場面。ロンを見殺しにしてまでも、賢者の石の方が大切なのか!?結果的にはロンは助かったけど、まかり間違えば死んでいたんだぞ!あの時点では、賢者の石をスネイプ先生に獲られるとヴォルデモートが復活。ヴォルデモートはハリーの両親を殺し、ハリーの命も狙っている。それ以外、具体的に復活するとどのような危機が訪れるのかはハリーには分らない。そんな状況下で、目の前のロンの命を踏み台にして行くハリーを許せない!友達の命を粗末にするな!まず友達の命を優先しろ!それが例えヴォルデモートの復活に繋がったっていいじゃないか!復活したら、その時はその時で皆で力を合わせて戦えよ!それが友情、勇気、そしてファンタジーの主人公たる者だ!百歩譲ってロンを踏み台にした事を善しとしても、もう少し葛藤しろよ、ハリー!顔の一瞬のアップだけで葛藤を済まそう何て甘いんだよ、監督!人間の命の事をもう少し深く考えろ!

そして最後のシーンで、自分(ハリー)の故郷は魔法学校だと?!現実を変えてみせろよ!ハリー、お前は主人公だろ!虐められていた環境から目をそらすな!そしてその環境を打破してこそ主人公と言えるんだよ!

僕にとっては頭に来る物語りの筆頭です。全国の多くの人々が認める作品だったとしても、僕は認めたくはありません。いや、認めてやりません!人として何が大切かを描けない作品に未来は無い!

感情的な文章になってしまって申し訳ありませんでした。ですが、これが正直な意見なのでお許しを・・・。最後の最後に一言。ボイス母様のコメントにあるように、機会があれば原作本を読んでみようと思います。そして魂が入っている原作と、入ってない映画を比べてみようと思います。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ジャイアント白田[*] スパルタのキツネ[*] はしぼそがらす[*] ボイス母[*] peacefullife[*]

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