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[コメント] まぶだち(2000/日)

前作のような淡い青春恋愛映画でない事は残念でしたが美しくてどこか懐かしい自然に感動。物語も既存の映画と微妙に視点がずれてるし何といっても言葉の使い方が魅力的で十分満足でした。
kaki

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あとは勝手な解釈です。

この小林という先生は生徒をクズ共と呼び人間扱いしていない様に描かれる。しかしその生徒(クズ)達に語る言葉はいいかげんなものでなく中学生に理解できるのか?と思う程の人間に対する言葉で単なる暴力教師のものではない。小林は過激ではあるが自分の教育理念に沿って物を言い散々こき下ろすが褒めることも忘れずクズといいながらもそこから抜ける道を開き扉を叩くことを歓迎している。それゆえサダトモ(そして観客も)は不満や疑問を抱きつつも単純に逆らうことはできないでいる。しかしシュウジに関しては小林がいくつも用意した扉をどうしても叩けない。それゆえ小林も罵倒するしかなくなっていく。そしてシュウジが死んだ時小林は自分のしていた事が間違いであったのでは?とまさに自己否定される事になる。そしてサダトモに「本当の事を言ってくれ、自分で飛び込んだんじゃないのか?」と問う。サダトモは足をすべらせたのだと嘘をつくがそれは小林の言動や行為を全て理解しシュウジの死が小林のせいだと知りながらも間違っていないことも知っている為に自殺である事を隠したのだろう。そして小林もこの時、サダトモが自分の事を一番理解していたことを知る事になる。このシーンと対峙する場面として父親がカメラを触ろうとしたサダトモにどなってしまう場面がある。その言葉に感情的なもの以外なく、その後続く父親の言葉(言い訳)にサダトモはすぐさま反発をみせる。私は監督と同じと年齢なのですがこの父親も同世代であり子供に心を見破られてしまう姿は痛々しい。私達の年代からすると現代社 会における子供達は何を考えているか分からない恐い存在であり、そして上の世代のように子供に対する接し方を確立できていない。友情物語の影にその辺の世代的な葛藤も感じられた気がしました。(全然違うかもしれないけど...。)とにかく本当に言葉と言葉の間の使い方がすごくうまい人だなあと感激しました。ただ個人的には『この窓は君のもの』の淡い恋愛物がやっぱり観たい!!

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)秦野さくら[*] ina

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