[コメント] フェリックスとローラ(2000/仏)
思わせぶりなだけ。女が、ではなく、この映画が。
男としては(女でも?)確かに“謎の女”には惹かれるものを感じる。私がフェリックスの立場でも、やはりローラ(シャルロット・ゲーンスブール)に心を奪われていたことと思う。そこらへんの「逃げ去ろうとするものを追う心理」の描写は短いながらもなかなかうまくて、結構説得力を感じた。
だが、これはリアリティの問題とも絡んでくるんだけど、ここまで自分の存在を「消せる」女は実際にはいない。なんでもかんでも子供のころのトラウマのせいにする作品にも飽き飽きしているので、普通に育てられ、何不自由ない生活から感じる空虚さを、不可解な行動の根拠としている点にはむしろ共感を覚えるけど、彼女の場合はそこから虚無感を感じる「日常」そのものがない。
一方で日常性を感じさせないから謎の女な訳で、実はなんの謎もなかったという結末では、キャラクター設定が矛盾しているというか、破綻しちゃってるように思うし、男のほう(フェリックス)もそれほど魅力的に描かれているわけでもない(まあ、ここは女性の皆さんの意見を聞いてみないとわからないところだけど)ので、要はなぜローラがフェリックスに惚れるのかが判らない。
で、一足飛びに結論に行くけど、タイトルは『フェリックスとローラ』だが、むしろフェリックスが一人称で語る『ローラなる謎の女』の物語だった、てなあたりが真実ではないかな。
65/100(02/03/17見)
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