[コメント] プラットホーム(2000/日=仏=香港)
「オフィス北野」…冒頭、目に飛び込んできた六文字、ヤな予感的中。
こういう、散文的というか、叙情的というか、リアリズム的というか、なんというか、観客の「観る」という行為に「読み解く」という更に付加的な参加・負担を要求する撮り方は、その作品に携わる者、特に監督に余程の力量がないと、ただ退屈な映像の垂れ流しに終わってしまう。そういう意味で、同格に並べるには少々抵抗があるが、北野武やアッバス・キアロスタミ、チャン・イーモウの「偉大さ」「力」を、この作品で実感。
この作品は、そういう先人の「流行」に乗っただけで、「ちゃんと編集しろよ」的な苛立ちしか感じられない。
何やら登場人物も多すぎて視点も定まらず、また、その多すぎる登場人物をひとつのフレームに収めるための終始引いたままのカメラには、フォン・トリアーの手ブレカメラ以上にイライラする。結局は逆説的にか、安っぽい中国現代史ドキュメンタリーのクズ・フィルムに沈んでしまった。
語るべき物語がなく、語りたい意欲だけを垂れ流し、物語を全面的に観客に委任する高慢な態度は、単なる責任転嫁に過ぎない。ある意味潔いかもしれないが、その潔さは、もっと力を養ってからやってほしい。僕はこんなのを「映画」とは呼びたくないし、金も時間も犠牲にしたくない。こういう不遜な輩を甘やかしたくないし、垂れ流しは仲間内だけでやっててください、と言いたい。
[12.25.01]
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