物語がつまらない。それはこれから観る方に私が保証する。この作品の物語は、あなたに何も訴えようとはしない。

この作品での物語は、珍奇なシーンをみせる「レール」としての役割しか果たしていない。しかもこの物語に描かれる程度の珍奇など、この映画に描かれている以上のものが今もなお、現実に存在する。この程度のレベル見たさに、映画館に足を運ぶ必要などない。

映像のコンピュータ処理技術にも今さら驚く事はないだろう。ただのパノラマだ。アクションに至っては、こだわる人であれば「香港いって出直してこい」ぐらい言いたくなるレベルだ（これならＤＯＡ-Ｆｉｎａｌのほうがぜんぜん格好いい。バック転側転すりゃイイってもんじゃないんだよ）。

「デリカテッセン」「ロストチルドレン」にみた恐ろしいファンタジーも美しい絵も、この作品に期待してはいけない。マルク・キャロはただ雰囲気を貸し与えた（？）だけだ。それ以上をこの作品からは見て取れない。

「リアリティなど、ニュースで充分だ」と、あるインタビューで吐き捨てたこのピトフという監督の、この言葉を気にしない方は、観るべきかもしれない。