[コメント] カンダハール(2001/イラン=仏)
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そもそも、この映画だけから戦争に関するメッセージを感じることは難しい。いや、それは間違いのはずだ。
風景は普通に美しい。ただ、この映画が魅力的なのは、変な人たちだ。 死人から取った指輪をどうしても売りたい少年。妻のために計った義足ではなく他の人の義足を気に入る男。足があるくせに義足が欲しい男。友人や母親のためだと言うも、すぐその義足を売ろうとしたり。。。
と、いや。大爆笑でした。たぶんネイティブであられる老若男女のお客様達は。ウルサイヨ!と思うも、これだけ楽しまれると、次第につられて笑いが移ってしまう。
こんなに笑わせたり、笑ったりしている人たちって、本当にしなければいけない 戦争なのだろうか。と考える一方で彼ら登場人物たちの妙な嘘と頑固さを思う。もしも、この映画から感じるメッセージをあえて感じようとすると、それはこの国の問題の根幹は教育にある。ということなのではないだろうか。
主演をしているニルファー・パズィラ本人は政治的メッセージを持っている人だが、彼女が語ったこの映画の成り立ちを聞くにつれ、映画を戦争に関するメッセージと取るのは間違いだろう。寧ろ、直接的な、女性問題。教育。医療。地雷。。それらが戦争と関係しているといえばそうなのだが。。ちなみに、彼女とマフマルバフ監督はアフガニスタン人でイランに住んでいる人たちのイランで教育プランをスタートさせたとのこと。
あっけないエンディングも、 村上龍のJMMでの彼女の言葉によると、 「そうこうしているうちにイラン滞在のビザの有効期限が切れそうになっていたので、監督としてはどういう終わり方をするかを決定しなければなりませんでした。妹を探しに行くシーンを撮影できませんでした」
という事情からして可笑しい。なりゆきロードムービー映画みたいだ。しかし、また彼女自身がフラストレーションのあるラストとも語りながら 「最後のシーンでそれぞれのコミュニティが最初は集まっていたのにどんどん分かれなくてはならなくなってしまうという形になっています。アフガニスタンの未来の不確かな面をそこで示したといえるのではないでしょうか」
という、ラストの提示は不確かさを示すにとどまるものの、全編、予告編の印象とは違い、面白可笑しい映画です。
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