[コメント] O〔オー〕(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画、かなり難点も多いです。まず、いまひとつ冴えない主人公の策略に何故みんながアッサリ協力してしまうのか。ジョシュはヒューゴの狡猾さだけでなく、彼の愛されたいのに愛されない哀しみ・孤独感を見事に演じ、ヒューゴになりきっていました。しかし惜しい事にただ一つ、カリスマ性が無い。もし彼にカリスマ性があれば、策略に協力してしまう友人やガールフレンドの姿もずっと納得しやすいのですが…。
イジメられっ子の青年は、策略を手伝う事によってオーディンとデジーを別れさせる事は出来ると思うのだけど、その後どうして学園のマドンナが自分とつきあう展開になると思いこめるのかが疑問。リスクだらけな上に、そこまで持っていける作戦とは思えない。またヒューゴの彼への対応も冷たく、彼がリスクを冒してまでも協力する作戦ではなかったはずですが。
同様にヒューゴの彼女も「愛されたいから盗みに加担した」という動機はともかく、さすがにオーディンが「祖母の宝物のスカーフだ」と切実に訴えているときに真相を話すべきだったと思う。そこらへんも描写が曖昧な気がした。
あと2人の初体験のシーン。こればかりはヒューゴの策略の及ぶところではなく、オーディンの「初体験であんなに感じるか?」の疑惑は実は自分も見ていて感じた。もし彼女がベッドでそんな懸念を感じさせなければ、かえって結ばれたことにより絆が強まり、ヒューゴの策略を吹き飛ばしていたかもしれない。
そして、マイク殺害のシーン。抵抗するマイクをヒューゴ自身が鉄パイプで殴ってしまった時点で、自殺は偽装できないと思うのだけど…。
…などなど、難点をあげたらまだありそうだし、実際どうしても好きになりきれないモノも感じるので★3か非常に迷う。でも映画館からの帰路に、気付けばずっとヒューゴと自分との相似点に思いをはせていたり、あのヒューゴの暗い視線が脳裏に焼き付いていたので★4。
出来過ぎな展開にしても、嫉妬にまつわる現代の寓話として好意的に受け取ることにしました。「オセロー」の現代版リメイクというより、あの遙か昔の悲劇が現代のハイスクールで蘇ったという感じもします。
■■■■■追記
…と書いたのですが、時間が経つにつれて物足りなさを感じたので、やっぱり★3にします。 寓話にしては描写にリアリティがありすぎるし、現実にしてはナンセンスな展開だったのが★−1の要因です。出演者はみんなすごく良かったんですけどね…。
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