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[コメント] マイ・ガール(1991/米)

過剰な描写を極力排除した、簡潔な文体。その中でクッキリ輪郭をあらわす、数々の象徴性。どことなく良質な児童文学に触れた時の、優しさと確かな手応えを感じる。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







おだやかな日常の底に横たわる、数々の死のイメージ。そしてベーダが身近な「死」に直面し、それを自分なりに受け入れていくまで。そしてそれだけではなく、その経過で自らの体に起きた変化や、父親の新たな生活を通して、どことなく「生(性)へのとまどい」を匂わせているトコロがまた、なかなか秀逸だと思う。

それと特筆すべきは、父親のデリケートな人物造型。例えば初デートでビンゴゲームに興じるシーンにおけるやりとり。必勝法を綿々と恋人に説明しつつも、いざ彼女に「そうすれば勝てるのね」と言われると、思わず「勝てるかわからないけど、確率は上がる」という返事をしてしまう。他にもいろいろあるけど、こんなちょっとしたセリフから、彼のキャラクターがとても繊細に、立体的に輪郭をあらわす。克服すべきものを抱えた一人の父親の物語として、第二の主人公と言っても過言ではないと思う。

それとカルキン君がかなりハマリ役。コンプレックスを抱えた、過保護気味の冴えない少年。眼鏡越しの、どことなくスネた目つきがとにかく似合う。

(2003/5/31 再見)

(評価:★4)

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