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[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦(2002/日)

来年、また劇場に“戻って”みようかな
ユリノキマリ

「クレしん」シリーズは、私にとって思い出の映画と呼ぶにふさわしいものです。それでいて、「これからの映画」シリーズでもあります。

1993年、長女が2歳のとき、『アクション仮面VSハイグレ魔王』を見にいき、劇場の窓口で“チョコビ”を買ったら、近くの席に座っていた小学生くらいの男の子たちに「おばちゃん、それちょうだい。麦チョコ食べてもいいから」と言われて、チョコビの袋を差し出しつつ、彼らの麦チョコをお言葉に甘えてお相伴にあずかりました。

映画自体は確かに、ここのところ2連発で大当たりを出した「クレしん」映画には遠く及ばない出来だったものの、ギャグというべきか、ちょっとホロっとできる要素のあるコメディー映画としての片鱗は見せていた気がします。それから6年間、劇場で「クレしん」映画を見続けましたが、長女が「クレしん」自体に興味を失いつつあった99年・2000年は、ビデオで見たことすら覚えていません。

2001年、そこへ『オトナ帝国の逆襲』の異常なまでの評判のよさを伝え聞き、一体何なのだ?と思っていたら、「うわー、ヤラレタ…」となりました。「オラ、早くオトナになりたいな〜」と屈託なく思いながら過ごす子供時代というのが私の理想でした。テレビシリーズでもしんちゃんの口から時々聞かれるフレーズですが、この映画で一気にはじけたのを、涙なくしては見られませんでした。

あれだけの仕事をした後では、次が出しにくいだろうと思っていた2002年……げっ、すげっ、『アメリ』より平均点高いぞ。今度は一体何をした?と思っていたら、拙作ウェブサイトのBBSにも「戦闘シーンのレベルが高い」などと書かれているし、これはビデオが出たら必見だと思いつつ、しっかりサービスデーをねらってレンタルしました。

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アニメとしてではなく、映画としての完成度の高さ、廉姫の辺りをはらうような威厳と美しさに驚き(『オトナ帝国の逆襲』でも頑張っていた小林愛さんの、ちょっと蓮っ葉にも聞こえるハスキーボイスが、意外なほど合っていました)、それでいて、野原家の皆さんはいつものまんまで、1時間半、しっかり堪能させていただきました。

今、次女が、あのときの長女と同じ2歳です。次の新作は、久々に思い切って劇場に行ってみようかと思います。この調子で息切れせずに、いいものをつくっていくのは大変でしょうが、ぜひとも期待したいものです。

そうそう、『踊れトスカーナ!』のDVDを日本語吹替で見たとき、山路和弘さんの声が何か気障ったらしい気がして、役(長男レバンテ)に合っていないなーと思っていたのですが(弟リベロを担当した牛山茂さんの方が、レバンテにふさわしかったかも)、この『戦国大合戦』では、ぴったりはまっていたと思います(ちなみに、敵方の大将)。

94〜99年くらいまで、有名人のゲスト起用に頼っていた感もあって、これでは(コンセプトは大分違うものの)やってることがジブリと変わらないじゃないかーと思っていたのですが、今回はまた一流どころのいい仕事が拝聴でき、嬉しい限りでした。アニメ映画はこうでなくちゃ。

(評価:★5)

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