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[コメント] 「女の小箱」より 夫が見た(1964/日)

価値観の衝突、エゴの対立をここまで尖鋭に際立たせた映画を他に知らない。情念の映画と見せかけて、物凄く理知的。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「あなた、株券が欲しいの?わたしが欲しいの?」「決まってるじゃないか!両方だ」「ダメよ、どっちか一つよ」…「返事してよ、どっちなの?株を取って出世したい?貧乏でも私と暮らす?」

「私が欲しいのはお金じゃない。あなたよ。それでも捨ててゆく?」「感謝と愛情は別のものだ。僕は君を愛していない。仕方がない。」

「夫が仕事のために妻を顧みないからといって離婚するなんて聞いたことが無い!…世間の奥さんは皆我慢している。不平も言わず夫を助けている。それが妻というものだ。夫婦なんだ。世間の常識だ!」「私は厭よ、夫の犠牲になるなんて。」「じゃあ夫が妻の犠牲になれと云うのか!お前は夫を駄目にし破滅させたいのか?自分さえ満足すれば夫はどうなってもいいと云うのか!」「私はただ、愛されたいだけ」

…めくるめく名台詞の応酬。

照明も抜群によい。若尾文子の肌の発色!

(評価:★4)

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