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[コメント] ミスター・ルーキー(2002/日)

プロ野球選手は、巨人であり、神様だったんだ。阪神優勝するといいねえ、なんて。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







プロ野球と言えばやはり子供の頃に父親がビール片手に見ていたテレビ中継のイメージで、横浜球場に一度だけ生の試合を観に行ったことがあるだけ。夏になれば読売テレビの巨人戦。テレビからあの独得の応援のリズムが鳴り響いてきて、おっさんみたいな選手達の端正なお尻なんかが画面一杯にアップになったりする。そんでそんなもののためにお目当ての番組が見れなくてヤな思いをする…そんな憶えしかない。

なのに、なぜ面白かったのでしょう。たぶん本当はプロ野球にも阪神タイガースにも大して思い入れがないからなのかもしれない。愛があればあるほど、と言うより、愛を生きていればいるほど、具体的に見詰めているだけ粗が見えてくる。そういうものなのかもしれない。愛が具体的であるということ、目が具体的であるということ。…なんて、こんなところで「愛」を語ってしまうそのことが、すでに空回り。

お約束? テレビドラマ? …大いに結構。それでも“ミスター・ルーキー”長嶋一茂の鍛えられた肉体にはそれだけで説得力があったし、“監督”橋爪功の助平っぷりはまるで素に見えたし(楽しそうだ!)、“鍼師”國村隼はいつものように飄々としてキャストの中でポイントになってたし(竹中直人もいつものように)、いきなり夫の頬っぺた引っ叩いて気合をいれてくる男気のある女房鶴田真由だの、ミスター・ルーキーのライバル駒田徳広だの笑かしてくれるし、席に着く時に腰をあげてくれた爺さまにきちんと「ありがとうございます」と礼を言うことを知っている小学生の息子には泣けるし(一人だけ爪弾きの宅間伸をちゃんとフォローする山本未来…みたいな脇役を見捨てない脚本の小さな配慮にちょっとだけうれしくなる)。

んで、なにより選手達。かっこいいのね、この人達。突如として仰角で登場するランディ・バース。子供の頃は無駄に筋肉がついてるようにしか見えなかった(御免)この人達。じつは“巨人”だったんだ。一挙手一投足で世界を具現し、物語を生み出していく神様だったんだ。

本当にプロ野球を、阪神タイガースを愛している(愛してきた)人は、むしろこんなお手軽な感想は抱かないのかもしれない。他の地方のもんがインチキ関西弁喋繰ってるみたいなふうに思えるかもしれない。それはしようがない。でも他の地方のもんとして、インチキ阪神ファンに束の間なりたくなるような、そんな映画ではあった、ということで。

(評価:★3)

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