[コメント] 少林サッカー(2001/香港)
映画を見終った人むけのレビューです。
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最初のツボは、饅頭屋の場面の七三分け青年。「♪ド〜ドシドシソ〜、ラ〜レィ〜」にヤラれてしまった。あとは坂をゴロゴロと落っことされたみたいに急加速でハマりっぱなし!
あんなキャラや場面なんて、バラエティー番組の再現ドラマでも見られない大バカさ! 笑いも困惑も呆然も、何もかも全部ひっくるめて、それがこの映画の持ってる“トンデモ”パワーなんだろう。
「飛竜コンビ」と対決したときのシンのセリフに「ワイヤーアクション!?」っていうのがあったけれど、それこそこの作品も「マトリックス後」の作品で、ワイヤーの使い方ではフォロワー、って面もある。
ところが、白人カンフーがどれだけハイレベルなCGで強力に武装していたとしても、この映画にはどうしてもかなわないものがある。それは、生身の人間の存在だ。
人間のカッコいいところもワルイ所も全て肯定して、少林寺拳法のスゴ技も、ハゲもタプタプのおなかも、アレもコレも、ありのままそのままでスクリーンに投げ付ける荒技は、観念論でカンフーを振り回し、そしてそれが「ものすご〜くカッコいい」と思っているマトリックス的“センス”には逆立ちしたってできっこない。
香港映画としてさすがだと思うのは、ハリウッド的大作のようには予算が潤沢とは思えない状況でも「マジ」な「ガチンコ」でいるところ。その作品自身が表現できることに疑問を持っていないところがスゴい(じゃあ「ウラ関根TV」で紹介されてた「ニンジャマン(? @うろ覚え)」はどうなるんだ、って考えたら、やっぱりこの映画はどれだけ予算とヤル気が豊富な「大作」だったのか、ってことになるかもしれないんだけど)。
もし、同じような構造の映画が日本で作られたら、安っぽさとやる気の無さで正視できないような作品になってしまうと思う。日本映画のほとんどは、結局のところ「ハリウッドみたいな予算もないのに同じようなことできるわけない」って最初から投げてしまって、「それでもできること」を放棄してるだけなんじゃないか?
これだけ「痛快!」な思いをさせてくれる映画、そうはない。多分、それだけむずかしいことを、シンチーという人はヒョイっとやっちゃったんだろう。
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試合中の「少林寺羅漢拳(組体操みたいなポーズ)」のところで、六師弟(水渡り)が一人だけ手前で寝そべってるのを見て、『カンフーキッズ』の、一人だけバク転できないメンバー(やっぱり肥仔(おデブちゃん)だったけど)を思い出した。あの子たちどうしてるかなぁ。
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