[コメント] 活きる(1994/香港=中国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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最初の賭博、息子を学校に連れていった事、マントウを先生に食べさせた事とお湯を飲ませた事。旦那はかなり失敗している。失敗するたんびに奥さんに文句を言われこの夫婦は旦那B型、奥さんA型かいなと思ったりして(うちの両親です)
ところでちょっと引っかかるのは 奥さんが息子の墓の前で旦那の行動(学校に連れていった事)をなじる場面だ。彼は政治的な吊し上げを恐れて無理矢理息子を連れていって家族を守ろうとしたんだろうし食堂で息子を叱ったのも同じ理由だった。この奥さんの理不尽さは春生(彼もひき殺したくてそうしたわけではない)にも向けられている。単に政治の怖さを知らない、という演出かもしれないがあえて奥さんのどこがおかしいのか考えてみた。例えばこういうことだ↓
1.料理をしていて甘すぎたので塩を大量に入れた、結果塩辛くなり食えなくなった
2.料理をして余った材料が腐ると困るのでゴミ袋に入れた、そしたら猫がゴミ袋を破って部屋がゴミだらけに
つまり1はなるべくしてなった失敗で、2は最初に考えた事以外の事態に展開した状態だ。奥さんは2の事態に巻き込まれた人(旦那、春生)を轟々と非難するのだ。
いったいどういうキャラクター設定なんだ?と思ったんだが考えてみれば この国は人の為に良いことをしようという人間(2のパターン)をことごとく裁いてきた歴史がある。 とにかく結果が思わしくなければ1だろうが2だろうがお構いなしに弾劾する。 共産党の失政も多くは2のパターン(国中で鉄を集めて炉に入れたり毛沢東神話を作ったりしたのは確実に1だけど笑)だが天安門の騒ぎが発展すれば1も2もなく当時の指導者は叩かれていただろう。
良かれと思った人が失敗して叩かれる、というパターンは中国の伝統なのか? そう考えると失敗した人が頑なに自分の非を認めない気質(SARSへの役人の対応とか)というのも案外 こういう所から来ているのかもしれない。
そうすると旦那って中国の歴史そのもの?、みたいな気がしてくるんですけど。まず親の財産も枯渇しかかっていたのに賭博(アヘン)にとりつかれて家を没収(列強の中国分割)されて内戦に巻き込まれて負けて共産軍に寝返って(まんまだが)自分の判断ミスで息子が死んで(台湾独立)ついでに娘も嫁に行ったけど亡くなって(モ、モンゴル?←苦しいのだ)それでも孫は元気に育ちつつある(新しい希望の中国、経済改革、そのうち名前が変わります笑)みたいな。
おお!なんかレビューで偉そうなこと書こうと思って当て付けで考えただけだけど面白いな、この推測!チャン・イーモウに言ったらウケそう。
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