以前、アニメをよく見ていた私だが、今はまったくと言っていい程見ていない。だから、猫の恩返しは久しぶりに見る新作アニメ映画だった。全然期待していなかったのだが、これがなかなか好感触。正直、最近のジブリ(宮崎)作品には疲れていた(そうは言いつつ『もののけ姫』は宮崎作品の中で一番大好きだったりするが)。子供に見てほしいとか言いつつ、小難しい事ばかり言ったりとか……。宮崎ワガママ放題のジブリにうんざりしていた私にとって、この映画はある意味“癒し”だったかもしれない(笑)。

猫の国に行く事も支離滅裂な展開も、深い意味はないし考えなくてもいい。クスクス笑えるシーンも結構あったし、それぞれのキャラもあからさまぐらいに立っていて判りやすい。特にバロン!猫のくせに(袴田のくせに)とてもカッコイイ!アニメを久しぶりに見た分、私は「アニメってこんなに面白かったんだ!」という事を強く感じた。この単純明快さこそ、今の私がアニメに求めていた事だ。確かに、今迄深いテーマを投げ掛けてきたジブリ作品を考えれば、子供騙しの猫騙しな作品に思われるだろうと思う。それは、もっともだ。しかし、アニメってこういうものじゃなかったっけな……。「ジブリだから…」と言われたらそれ迄だが、ジブリは絶対宮崎から卒業すべきだ。それの第一歩としては、この作品は成功していると言っていい思う。

今迄、芸能人が声優をやるのはどうも頂けなかったのだが(声優、役者の概念がない方がいいのは判ってはいるが)、今回はハマっていて良かったと思う。ハル役の池脇千鶴はハルのとぼけたキャラを嫌味なく素直に演じていたし、バロン役の袴田吉彦も普段は冴えない(失礼)と思っていたが、意外にいい声で紳士なバロンのカッコよさを引立てていて株が上がった。他のキャストも見事だった。

あんまり評価は高くなさそうだが、私は十分満足した。あの小さなロマンスも少しときめき……。久しぶりに素直に笑ってときめいて……素直にアニメを楽しめて、とてもいい気分だった。

でも−1なのは、今後の期待も含み……という感じだろうか?この調子なら次回の新生ジブリの作品も楽しみだ