[コメント] オースティン・パワーズ ゴールドメンバー(2002/米)
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お気楽お馬鹿コメディの第3弾。一作ずつマイヤーズは自分の分身を一人増やしているようで、前回のファット=バスタードに続き、今回はゴールドメンバーも自分の役に加え、更にミニー・オースティンまで加え、同じ顔がゴチャゴチャと出てくる話となってしまった。
ノリはそのままで、言葉を使ったギャグや、明らかに狙った勘違い日本文化など、演出面は更に強化されている。
それで今回はこれまでで最高の総額1億5千万ドルものの製作費を使って始められた。しかし、その大部分は最初の10分で使ってしまったのでは無かろうか?あのメンバーは豪華すぎる。オースティンにトム=クルーズ、ドクター・イーヴルにケヴィン=スペイシー、ミニー・ミーにダニー=デヴィート、更にジョン=トラヴォルタ(彼の場合ラストシーンだったが)にブリトニー=スピアーズ、グィネス=パルトロウ。しかもスタッフが監督がスピルバーグに音響にクインシー=ジョーンズ、オジー=オズボーン、バート=バカラックって…もしこれでやったら大成功間違い無しだけど、製作費は天文学的なものになるだろうな。少なくとも私は最初のそれでノック・アウト。良くやってくれたと手を叩いた。特に葉巻くわえてトミーガンぶっ放すミニー・ミーは最高だった。トム=クルーズも、あんなド派手なオースティンの格好が見事にマッチしてるところが面白い。
お馬鹿連続の作品だが、意外にこの作品は基幹である設定がしっかりしているのが特徴で、一作目『オースティン・パワーズ』(1997)は時代のずれたヒーローの喜劇性。二作目『オースティン・パワーズ デラックス』(1999)は「活力」という明確なテーマがあった。それで本作のテーマ性というものを考えてみると、これは「秘密」というテーマに思える。
前二作にはあまり見られること無かったが、ここには多くの秘密…言い換えれば「隠すこと」が詰められている。それこそこれまでオースティンの父ナイジェルが隠してきた事が最終的なオチとなるけど、それだけじゃなく、日本語の言葉遊びでは文字を隠してるし、大笑いした影絵シーンも、「隠すこと」でこその演出だった。そして勿論スパイ映画では定番の「秘密兵器」も最後に登場するし…勿論私の妄想だが、こういうテーマに分けて考えてみると、映画というのも面白い楽しみ方が出来るものだ。
時間の跳躍を題材に取った作りは今回今ひとつと言ったところ。わざわざ70年代に戻ってパートナー探しをする必要性が全くない…が、それは最初から重視してなかったんだろう。単にダンスブームが起こりかけていた70年代後半のお祭り騒ぎが描きたかったと思えばそれで良し。勘違いだらけの日本描写においては、あきらかにあれは70年代のエキゾチック・ジャパンを業と勘違いさせて描写してるだけ。呆れるよりはむしろにやにやしながら観られた。
これまで単なる大笑いできるコメディとしか思ってなかったが、結構元がしっかりしてることに気づかされたので、点数はかなり甘めに。
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