[コメント] 青い春(2001/日)
鋭く、激しく、優しい痛みとせつなさをくれる映画
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
久々だ。こんなにショックを受けた邦画は。
見終わってしばらく、席から立ち上がることが出来なかった。なにもしたくない。なにも考えたくない。痛い。心が。だがこの陶酔感がどこか心地よくもあり。しかしやっぱり気分はあの澄み切った青よりもっともっとブルーだった。
九條の気持ちがわかる。これはもう感覚の問題だけれど、少なくとも自分にとって九條の虚無は、リアルすぎた。思い出したくもないようなあの頃の痛みが、まざまざと蘇ってたまらなかった。青木の暴走に共感する人の方が多いのだろうけれど、私の心は九條に寄り添った。
しかしこの作品の本質は青春の青さ、確かにそうなのだけれど、それ以上に青臭い命がけの無謀さでしか救えない魂があり、そのあまりにも稚拙な愛情が一人の孤独な少年を癒した、その力の破壊的なまでに壮絶な佇まいのせつなさだ。
そして本当に大切なものに最後の最後になるまで気付けなかった少年は、一人取り残され、広漠な灰色の世界に放り出された。
彼はここから歩き出すのだ。
あの瞬間、九條は本当の意味でこの世に生れ落ちたのだから。
その先に続くのがどんな世界でも、それはやはり紛れもなく未来であり、希望なのだ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。