[コメント] ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(2002/米=ニュージーランド)
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前作で、その作品の持つ世界観に魅せられた人間であれば、瞬く間に再度、心を掴まれてしまう出来映え。前作ラストで3方に散った旅の仲間たちのそれぞれの状況から、ひとつの目的に向かう描写も興味深い。基本的に多くのファンタジー作品やSF作品、ヒーロー作品などとベーシックな方向性は同じなのだが、隅々まで手を抜かない圧倒的な完成度とスケールの大きさが、観客にチープさを感じさせず子供から大人まで幅広い年齢層を夢中にさせる。前作で多少感じた中弛みな印象も本作では冒険譚が渦中に入った為か、無駄を感じさせず虜にさせる。惜しむらくは登場人物たちの見せ場が均一になりすぎて散漫な印象を与えがちな部分か?。やはりフロド(ウッド)とガンダルフ(マッケラン)にはシーンを多く裂くべきだった。逆にセオデン(ヒル)やゴラムは役柄のポジションが明確なのだからもっとシーンを減らし整理出来た。監督が主観的に、この二つのキャラクターに思い入れが出てしまい作品のバランスをやや見失った様子が伺える。全体の印象としては、やはり戦闘シーンのウェイトがメインに傾き、人間描写が少なすぎる印象も感じる。役柄が明快なレゴラス(ブルーム)やアラゴルン(モーテンセン)、ギムリ(デイビス)らは問題ないがフロド(ウッド)の指輪に憑かれた演出があまりにも一辺倒過ぎて残念。もっと表現に陽気な部分が必要だった。しかし戦闘シーンも目を見張る程の隙の無さとハイクォリティなので飽きさせずにラストまで魅せ、また心理描写の薄さも充分に補っている。ヒロインたち(タイラー,オットー,ブランチェット)の取ってつけたような扱いにも不満は無くも無いが構成上、限界の選択ゆえ仕方ないことだろう。下手をすると暗くなりがちな本編ではあるが、ガンダルフ(マッケラン)の放つヒロイックなオーラと、ユニークなエントたちの胸をすく活躍が作品に爽快な活気を与えていて嬉しい。『ハリー・ポッター』、『マトリックス』、『スター・ウォーズ/エピソード』シリーズと話題作の続編が席巻しているが、それらに大きく水をあけた感はある。原作の文学性の上に成り立っている強み。最終章が心の底から楽しみである。登場人物たちの成長に多いに期待したい。
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