繰り返される空撮といつまでも途切れない仰々しい音楽。ただただスケール感を煽るくどい演出にうんざり。激しい戦いもこう次々にダダダーっと見せられると、すぐに慣れてしまいそう凄いとも思えなくなる。こんな山場だらけでタメのない感覚刺激の大安売りではまったくカタルシスを得られない。

ゴラムの葛藤にはすこし心を動かされたが、予備知識で補完できないせいなのか他のキャラクターは忙しい展開の中にその個性を埋没させ一切の共感を許さないし、戯画的なＣＧキャラがいちばん生々しいなどという映画にはやっぱり魅力を感じない。けっきょく前作と同様にポツンと置いてけぼりをくらったさみしさだけが心に残り、壮大な異世界を蚊帳の外から淡々とながめるだけで終わってしまった。