コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 007/ダイ・アナザー・デイ(2002/英=米)

「007」という巨大なプロジェクト。そこにあるのは「ボンド映画」というより「いかにもボンド映画らしい」別物のようである。
おーい粗茶

クオリティを下げないため現状の制作ペースを守れば、一人の俳優がボンドを演じ続けていくことは回数に限りがある。いずれボンド役を替えなければいけないということで、製作者たちは俳優のイメージに頼ったボンド映画であってはリスクが大きいと判断しているのであろう。ブロスナン・ボンドは「ボンドらしさ」の中におさまろうとした、ある意味「間違いのないボンド像」を演じつづけている。

「顔」がしっかりしてさえいれば、スタッフはその他のところでいろいろ冒険ができる。シリーズらしさを保ちながら、マンネリに陥らないためには、確固たる軸があって、かつ新しい試みがとりこめることが大事だろう。ティモシー・ダルトンのボンドまでは新しい「顔」を前面にたて、新ボンドをスタッフが懸命にバックアップしてきたという図式だったと思う。シリーズ全体を通して見て、前任者とは常にタイプの違う「顔」を起用してきたことを思うと、むしろ積極的に新しい顔にトライしてきたと言える。しかしブロスナンからのこのシリーズは、皆で知恵を出し合い総力をあげ「ボンド映画」を盛りたてることで、「ボンドという顔」の不在をカバーしようとしているかのような印象だ。次にボンドになる俳優が、ある意味誰であってもはずれることがないように。そのためのスタッフたちの仕事は今回も素晴らしいが、かような力技もそろそろ限界のような気がした本作であった。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ゼロゼロUFO[*] sawa:38[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。