前半はキョヌ君の絶妙のボケに大笑い。後半は猟奇とは正反対に直球な純愛と再会のメロドラマにやられた。 ベタだし、いろいろ盛り込み過ぎて（特に脱走兵のエピソードは唐突だし余分に思える）普通なら受け容れがたいところだが、前半の二人の心情描写の積み重ねが後になって効いているのだろう。

韓国シンパな自分は、ソウルに行った時にしこたま飲んだチャミスルが何度も出てきたり、バラードの名手シン・スンフンのせつなげな声がバックに流れたりしただけでコロリと引っかかってしまった。

また、韓国人の誠実さが見られるのも収穫。地下鉄で二人が交互に老婆を助ける場面など、日本の都会ではもはや見られなくなった光景だが、年上の人を敬う儒教思想が随所に出てきて厭味なく清々しい。

せっかく伏線張ってもラストのオチがショボかったり、ツッコミどころは随所にあるのだが、映画の出来映えよりも、韓国人の恋愛に対する真摯な一途さに打たれてしまいました。