[コメント] ゴースト・オブ・マーズ(2001/米)
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物語の大部分がヘンストリッジの回想として進められるが、とりわけ序盤は回想の入れ子構造になっている。最も極端なところでは、ヘンストリッジの回想の中でステイサムが回想し、そのステイサムの回想の中でキューブの弟三人組が回想する(炭抗労働者が一斉に憑依されるシーン)。このような普通なら採用されないほどの稚拙に複雑な構成をカーペンターは実に巧みにさばいているが、やはり回想という形式が映画から常に一定量の緊張感を奪っている面は否定できない。ごく単純に云えば、「現在時」においてヘンストリッジは証言(回想)をするが、それによってヘンストリッジが回想内の戦闘で命を落とす可能性が消えてしまっているということ(私の贔屓のデュヴァルでさえあんな殺され方をしたのに!)。その後、ラストに示唆される警察とゴーストの全面戦争にはもちろん胸を高鳴らせないではいられないのだが、それはそこが現在時として語られているためでもある。
また題材の悪趣味さとは裏腹に、ここでもカーペンターの映画趣味のよさは際立っている。「映画趣味のよさ」とは、どう撮り、どう繋ぐか、という映画のエッセンスの部分についてのことだ。したがってそれは「映画偏差値の高さ」などと云い換えてもよいだろう。しかしアクション演出には満点を与えることはできない。天才的なカッティングの能力に頼ってしまったのか、ワンカット内でのアクションの面白さが限界までは突き詰められていない。しかしカッティングは見事。本当に見事。
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