[コメント] HERO(2002/中国=香港)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まず、ジェット・リー、お帰りなさい!といいたかった。最近のハリウッド映画では、ジャッキー・チェンと違い、存在自体が浮きまくっていたような印象だったので、やっぱり落ち着きます。
で、トニー・レオンと比べると、明らかに表情が乏しいジェット・リー。ただし、この「無名」という役には最適かも。その無名と秦王の火花散る駆け引きは見もの。無名の本心を隠しながら、その中の心の機微が見事だったと思う。もちろん、これは秦王役の俳優の「受け」があってこそ成り立つんだけど。
そう、この映画の見所はワイヤー・アクション満載の「動」の部分より、無名vs秦王、残剣と飛雪の絆と葛藤、如月の恋心と使命といった「静」の部分が素晴らしかった。個人的に「動」でよかったと思ったのは、最初の無名vs長空と、銀杏の闘いと、ふりそそぐ矢の雨ぐらいか。あとは飛び回りすぎで、血が通っていないと思えるのも確か。
もう一つの主役は「色彩」。これには映画の内容が「つまらない」と思った人でも、「美しい」と思ったに違いない。ワダエミさんの衣装もさることながら、風景やセットの色彩をじつに美しく撮影していると思った。
最初は「人」が色分けされていると思った。無名=黒、残剣=青、飛雪=白、如月=赤、長空=緑・・・と。予告編もそうだし、とくに宣伝のチラシは、完全にそんな色分けがされていた。しかし、実際は場面によって使い分けられていた。嫉妬・激情の「赤」、浪漫の「青」、真実の「白」、回想の「緑」、そしてそれらの色を際立たせる秦の圧倒的な力の象徴「黒」。
いやぁ、色を見ているだけで、夢見心地だ。とくに銀杏の闘いの「黄色と赤」と、湖面の闘いの「藍」、三年前の襲撃の「緑」がお気に入り。全体として5点は付けすぎかもしてないが、「色彩」の項目だけでも、大満足できました。(「色彩」が無かったら、3点ぐらいになってしまうかも)
ちなみに私は『羅生門』も『乱』も見ていないので、黒澤うんぬんなんてどうでもいいんです。コレだけ切り離して楽しめれば。
追記−銀杏ではなく、ポプラだったそうで。「徹子の部屋」でワダエミさんがいっていた。
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