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[コメント] HERO(2002/中国=香港)

この映画を「大仰」と(あえて言うなら「マイ・ビッグ・ファット・チャイニーズ・アサシンズ」か)切り捨ててしまうのは簡単なんだけど、色彩の美しさと、無表情ジェット・リーの機微だけでも圧倒されたのは確か。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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まず、ジェット・リー、お帰りなさい!といいたかった。最近のハリウッド映画では、ジャッキー・チェンと違い、存在自体が浮きまくっていたような印象だったので、やっぱり落ち着きます。

で、トニー・レオンと比べると、明らかに表情が乏しいジェット・リー。ただし、この「無名」という役には最適かも。その無名と秦王の火花散る駆け引きは見もの。無名の本心を隠しながら、その中の心の機微が見事だったと思う。もちろん、これは秦王役の俳優の「受け」があってこそ成り立つんだけど。

そう、この映画の見所はワイヤー・アクション満載の「動」の部分より、無名vs秦王、残剣と飛雪の絆と葛藤、如月の恋心と使命といった「静」の部分が素晴らしかった。個人的に「動」でよかったと思ったのは、最初の無名vs長空と、銀杏の闘いと、ふりそそぐ矢の雨ぐらいか。あとは飛び回りすぎで、血が通っていないと思えるのも確か。

もう一つの主役は「色彩」。これには映画の内容が「つまらない」と思った人でも、「美しい」と思ったに違いない。ワダエミさんの衣装もさることながら、風景やセットの色彩をじつに美しく撮影していると思った。

最初は「人」が色分けされていると思った。無名=黒、残剣=青、飛雪=白、如月=赤、長空=緑・・・と。予告編もそうだし、とくに宣伝のチラシは、完全にそんな色分けがされていた。しかし、実際は場面によって使い分けられていた。嫉妬・激情の「赤」、浪漫の「青」、真実の「白」、回想の「緑」、そしてそれらの色を際立たせる秦の圧倒的な力の象徴「黒」。

いやぁ、色を見ているだけで、夢見心地だ。とくに銀杏の闘いの「黄色と赤」と、湖面の闘いの「藍」、三年前の襲撃の「緑」がお気に入り。全体として5点は付けすぎかもしてないが、「色彩」の項目だけでも、大満足できました。(「色彩」が無かったら、3点ぐらいになってしまうかも)

ちなみに私は『羅生門』も『』も見ていないので、黒澤うんぬんなんてどうでもいいんです。コレだけ切り離して楽しめれば。

追記−銀杏ではなく、ポプラだったそうで。「徹子の部屋」でワダエミさんがいっていた。

(評価:★5)

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