何もかもがちょろい。初っ端から立場をわきまえないお嬢様と刀加治とのやりとりや大して面白くも無い説明台詞であっさり船に乗れてしまうデップ。後者に関しては単にコロシをさせたくなかったんだろうね。

海賊に関しても登場するなり下っ端に目玉を入れさせて「彼らは人間じゃないですよ」感を出す周到ぶり。もちろん戦闘シーンを全体的に暗めにする配慮も忘れない。で、翌日の朝のシーンでは目にも止まらぬ早業で死体は映らない。下手な指定なんか喰らった日には世界中のお子様とそのご家族様からお金をふんだくれないからね。さすがインチキドリーマーディズニーの考えそうな事ですよ。

極め付きは骸骨どもとトランポリン。ちょーたのしそー♪万事この調子で話はどんぶら進み、バカ娘が操船を指示するに至って完全に思考停止。死なない相手に戦いを挑んじゃうんだ。バカですか？という根本的なツッコミすらする気も失せました。

とにかく主役級以外、はっきり言えば3人以外の扱いが酷すぎます。主役級のジョニデにしてもラストは自分が助かって復讐を果たすために海軍の乗組員を骸骨どもの犠牲にした訳だし。とにかく大概にムカついていたのですが何よりムカついたのは海賊たちの扱いです。

彼らが虐殺される時はとにかく月明かりの下のみ。つまり人間ではない姿のときだけ首を跳ね飛ばされたり串刺しにされたりする訳です。ちょっと待てと。彼らだって人間な訳ですよ。事実月明かり以外では普通の姿をしている訳で、呪いが解ければ人間な訳です。それを姿が違えば容赦なく棒で殴り爆弾で粉々にしてオーケーってのは虫が良すぎやしませんか。

わかるんです。オレだっていいオトナなんだから、人間の姿をしているときにそれをやっちゃったら映像的に商売上いろいろ不都合が出るからそうしているというのはわからないでも無いんです。でもはっきり言って、そういうおためごかしにはうんざりなんだ。特にあんたらみたいにいかにも夢を売ってますって連中がそういうことを恥ずかしげも無くすることには反吐が出るんだよ！

オレはジョニー・デップは大好きです。尊敬すべき俳優だと思います。でもこの作品を「子供が見ても安心できる作品」と言ったのは非常にいただけない。子供が大きくなった時に憧れられるような映画を、芝居をあんたはしてきたじゃないか。この映画であんたは子供に何を感じてほしかったんだい？子供をなめすぎだよ。