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[コメント] ファム・ファタール(2002/仏)

調子っぱずれの「ボレロ」は天上の調べ。入れ子の中身はなんじゃろな?
ボイス母

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「やれやれこの話の行く末はドーなっちゃうの?」と、エロ(だけ)を頼りにこの、(やや)腰砕けピ〜ヒョロなんちゃってボレロが流れる映画を延々見続けていたのであったが、なんと! この映画の結末が、「パラディース(天国)」(最後に舞台となるカフェの名前がようやく映るのだが、その店の名前がコレ)行きであったとは!!

金魚の水が溢れているのは理由が分かったんだよ。 「あ、コレは溢れている水→風呂場のバスタブから溢れるお湯の流れからのイメージだから、こんな事が現実にはある筈は無いんだから、ひょっとしたら夢?」って。 しかし、こんなに沢山ヒントを散らされて、「ホレ、ヒントは沢山蒔いておいたからね」とデ・パルマ監督に良いように(?)言われ、散々刷り込みやらデ・ジャヴやら(あぁ、この言葉だって劇中ムタクソに出現するんだよ!)蒔かれた餌を拾いながら、このお話に延々付きあっていくと、なんと、待っていたのは、「愛と開放」であった。

悪は滅び(?)悪女は再生し、もう悪事は働かないどころか人助けまでしてしまう。 宝石を失った会社には保険金が下りて、子を失った女は新しい人生を歩き出す。

ガラス玉のネックレスのエピソードが美しい。オチは残酷だけど。 しかし、このエピソードがなければ、主人公も観客も、この運命(?)からは解き放たれられないのだから。解放感は得られない。 ちょっとした気まぐれが運命を大きく変えるという点は大いに気に入った。

ラスト、運命の出会いを果たした二人は恋の予感に震える。 それは映画の冒頭、絡み合う視線だけでレズ心を喚起した主人公とは別人のような、純粋な恋の始まりの予感を漂わせている。

子を失った女が人生をやり直せたように、この主人公も空白の7年間を乗り越えて普通の人生をようやく歩き始めるのだ。 入れ子になった物語の芯は「愛」であった(しかも、「永遠の」)

なんか、「儲けた気分」を味わう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)袋のうさぎ プロキオン14[*] あき♪[*] けにろん[*] ナム太郎[*]

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