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[コメント] パンチドランク・ラブ(2002/米)

なんだこりゃ?
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ブギーナイツ』や『マグノリア』にもあった一種の「謎」の要素を話の中心に据えたような作品。へたをしたら『マルホランド・ドライブ』のような作品以上に理解などとは無縁なタイプの作品なのだろう。だから、オルガンだとかトイレのつっかえ棒だとか、数かずの不可解なエピソードをいちいち解釈していっても仕方ないのだろうなと早々に気づいた。

ただ、そういった「謎」自体、それはそれだけで楽しめるものであったかというと、答えは否と言わざるをえない。ピンク電話の元締めの正体が、ユタ州のしがない家具屋で、しかもフィリップ・シーモア・ホフマンだった、というくだりぐらいしか純粋に楽しむことができなかった。

それまでのポール・トーマス・アンダーソン作品にあった、家族(もしくは擬似家族)の絆に関するテーマや上の世代が下の世代に向ける愛情といった、骨太なテーマは霧散していた。また、自己の行動を後悔し、泣き喚く哀れな人物像も出てこない。そうした人物像を引き継ぐのかと思われたアダム・サンドラーについては、やりっ放しにさせて適当に放り出しているだけで、それに対するフォローが微塵もない。アンダーソン自身新たなステップを踏み出そうとしているのかもしれないが、その行き先に少し不安をおぼえさせられた。私にはもうついていけないのかもしれない。(と言いつつも、今後の彼の作品を観たら見えてくるものもあるのかもと思い、★2.5に。)

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)PaperDoll[*] m[*] トシ

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