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[コメント] ミスティック・リバー(2003/米)

現代アメリカの方程式。
pinkmoon

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず最初にクリント・イーストウッドの出生を調べてみた。「アメリカ合衆国カリフォルニア州、サンフランシスコ出身の映画俳優」まさにバリバリのアメリカ人ではないか。もちろんアメリカに生まれたからと言って自国に対する敬愛の念を持つとは限らないが、多くのアメリカ人は不平不満は持ちながらも自国のあり方を認めている。世界における自国の存在意義に対して否定はしない。 この映画はそれをまっこうから批判する。自国に対する微塵の愛も感じないほどに否定する。 しかもどちらかというとアメリカ的「正義」や「強さ」を売りにしてきたクリント・イーストウッドがだ。 また、この映画がアカデミー賞で評価された理由が知りたい。単なるスタンドバイミー的な評価でないことを祈る。

問題は2点である。

「何故、デイブは実際にやっていないケイティ殺しをやったと言ったのか」

妻にも友達にも何も信じてもらえない苦しさ。その上に昔からの友人でありトラウマであるジミーの脅しが加わり楽になりたかったからか。日頃から抑圧されたストレスから解消されたかったからか。そうでもあるが、それ以上にその時点でのジミーのストーリーボードには「娘殺し=デイブ」意外なかったからなのだ。それが理由なのだ。デイブの理由ではない。今となってはあのシーンはジミーの妄想だったのではないかとさえ思えてくる。

「ジミーとショーンは何を背負ったのか」

パレードの中、当事者ふたりは証拠はないがこの時点で100%真実を知り得ている。お互いにおかれている立場から牽制をおこなう。しかし恐らくその後もお互いを縛り合って生きる関係となり、結果としてデイブという存在そのものが無かったことになっていく。すでに見えない「仲間」となっているのだ。ジミーの奥さんがその象徴である。それが正義だと夫の背中を押す。アンタッチャブル。

愛国心と正義は別物だと映画が語る。現代アメリカの世界における存在の方程式を明快に示している。

(評価:★4)

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