アニメのキャラは観客を裏切らない。正確にいえば「観客を」ではなく「ファンを」だ。

クラリスは永遠に姫さまだし、ナウシカも永遠に姫さまだし、シータは永遠にパズーに頼る可憐な女の子だし、メイちゃんは未だにパンツ丸出しでとうこもろしを持って走っているだろう。喩えが宮崎アニメだけで申し訳ない（だって他をあんまり知らないし）。でもオレが経験してきたアニメのほとんどでは、作品の中で彼ら彼女らは演技してなかった。つまり役者じゃないのだ。その映画の中の世界に実際にあんな人として生きているのだ。だから、彼女や彼らのセリフや行動はすべて本気・本音という事になる。製作者の思考が幼稚だとアニメキャラも幼稚になるのはそんな所だろう。

だが、実写の映画、つまり役者の場合はそうはいかない。「映画の中のその役のキャラ」と「役者としてのキャラ」と「実際の本人のキャラ」はそれぞれ全く別モノだ。杏は大学受験で叩かれるし、ユミは太ったり痩せたり、藻奈美はラーメン屋と別れちゃったりするし、静流はよさこい祭りに参加するのだよ。思うにアニメキャラは、できちゃった婚もしなければ、実は大酒呑みで毎晩呑みに行ったりとかもしない（と、いうそんな意味では昨今のCGキャラやアニメキャラのCDデビュー等は実験的で面白かったんだけどね。ちょっと時期尚早というか…）。

なんか書いてて長くなりそうだから、性急にまとめに行こう。

色々いわれる「だって〜」のセリフ。今までのアニメヒロインにはあるまじき一言ではある（オレの知る限りだが）。ま、制作側のわかり易い狙いといえばそれまでだが、普通にそれまでのアニメヒロインの常識をぶっ壊す一言だ。だって、観客を裏切るんだぞ。アニメのキャラで初めて女優である瞬間を見た。

ではあるが、どっちみち、実写にしてもらった方がいい映画にはなると思う。もしかしたら、単に『フォレスト・ガンプ』になってしまうかもだが。女優の人生を語るからこそ！だな、やっぱり。大者ならだれでも、それなりに絵にはなるだろう。山田五十鈴でも田中絹代でも吉永小百合でも京マチ子でも若尾文子でも、そしてもちろん（省略）←かなり気が早い