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[コメント] PiCNiC(1995/日)

空が青すぎて、影が暗すぎて、気持ち良い。
citron

忙しい仕事をしていた数年前、ふと道端の小さな花に目がとまった。まっすぐのびた少しの茎の先には、まるで絵に描いたような、まんまる二重丸の花。ポンポン菊の一種と思われるのその花は、白×黄色、ピンク×黄色などのかわいらしい配色で、ドット模様のように花壇を彩る。「なんだっけ、この花」どこかで見たことがある。そして不意に、その花がいつも身近にあった頃のことを思い出し、みるみる広がる記憶。小学校にあがったばかりの子供の頃、学校からの帰り道はいつも胸ときめくことばかりだったあの頃。家と家のすきまをぬって、どぶ川の堤防をつたい、毎日が冒険で新鮮で。その帰り道に、この花はたくさん咲いていた。不思議とその地域の家々はどこも、少しの花壇にこの花をポツポツ植えていたようで、思い出す帰り道はまるでクレヨンで描いたような小さな花畑でいっぱい。
この映画に感じたのは、日陰が真っ黒に見えるほど青すぎる空と、やわらかすぎる緑、体が溶けてしまいそうな夕焼け、そして子供の頃のこころだ。晴れやかで澄んでいて、残酷なこころ。
こまかい批評はしたくない映画のひとつです。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] torinoshield[*] ina[*]

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