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[コメント] ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男(2017/英)

チャーチル当人の思いとは別に、案外歴史ってのはちょっとしたことで左右されんのかもと思わされっとこが好きです。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 強気一辺倒で直情径行的な人物として描かれるチャーチル。一方、チェンバレンやハリファクスは、常に冷静で、相手を怒らせて失言を引き出すこともできる、政治的駆引きに長けた人物像。彼らの仕掛ける陥穽を、チャーチルは始めのうち、政治家的直感とでも言うべきもので回避する。

 このあたりの言葉の応酬による政治ドラマもなかなか面白いですね。

 しかし、欧州戦線の絶望的な劣勢により、ついにチャーチルも宥和策への転換へ追い込まれてしまう。常に彼を支え、応援し、勇気づけてきた彼の妻による鼓舞も、もはや彼に届かない。だが彼女の画策で、国王が彼の許を訪れたことから、彼は自信を回復する。翌朝、初めて地下鉄に乗ったチャーチルは、居合わせた国民らに自ら信を問うた―。

 僕はこの地下鉄シーン、良かったですね。ゲイリー・オールドマン演じるチャーチルが、自信と余裕を取り戻し、ユーモアを交えながら、威厳をも維持しつつ、自然体で国民と接する姿。国民を演じる役者らの醸す、慎ましくも芯のある真面目さ。この後に続く演説シーンより、こちらの方が僕にとってはクライマックスだったと思います。少なくとも、チャーチルという一人の人物の評伝と、英国民を誇り高く描く作品としては。

 むろんチャーチルも毀誉褒貶ある人物でしょう。映画だから「誉」と「褒」に偏るのは当然です。客観的に見れば、チェンバレンやハリファクスらの主張にも、時代の流れの中で多勢が首肯しうる正当性がある。でも、あのイギリスでも、やれば勝てた(事実勝った)戦争を、負けると思ってやらなかったかもしれないのだと。物語をシンプルに整えながら、歴史の多様性や複雑さをも感じさせる作品になっていると思います。

 強いて言うなら、彼の妻との関係が、彼にとって重要だったことは分かりましたが、妻自身のエピソードがやや未整理に残されていたでしょうか。

85/100(18/05/03見)

(評価:★4)

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