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[コメント] 勝手にしやがれ(1959/仏)

おととい来やがれ。
G31

華やかな大都会で、浮世のしがらみを離れた「個」が、その自由を満喫すべく奔放に舞い踊る。そんな様を描いて見せたことが、当時としては斬新だったのだろうか。それを描くために、当時としては物語性を解体ないし無視してみせることが必要だったのだとすれば、その点は割り引いて考える必要があるかもしれない。

だが、今となっては両方とも(都会の奔放な個も、物語性の無視も)ちっとも珍しいものではなくなってしまったので、この映画の魅力はすっかり色褪せてしまったように見える。言ってみれば、歴史的役割を終えた古代遺跡のようなものだ。もちろん人間の想像力は、そんな遺跡の上に往時のイメージを思い浮かべて、いにしえを偲ぶことも出来るものだから、いまだにこの映画を熱く支持する人々は、頭の中でそんな作業をしているのかもしれない。

が、私に言わせれば、だからこそきちんと物語を紡いでおいたらよかったのに、と思えるのである。ゴダール映画の魅力を一言で言えば(無謀だな)、「センスの良さ」ということになるだろう。それは私にもまったくわからないではない。だが、そんなセンスの良さを、きっちり物語の中で発揮して見せることの方が、もっとセンスの良いことのように私には思える。

例えて言えば、アメリカの独善的な覇権主義に対抗する、自分たちの崇高な主義を主張するために、何もバーミヤンの石仏を破壊する必要はないでしょ、という感じ(ますます意味不明)。

つまり、やっぱりゴダールはよくわからん。

60/100(02/01/18記)

追記:それにしても、なんで邦題はいっつも関東弁なんだろう。たまには「勝手にしなはれ」とか「勝手にしなっせ」とか・・・、どうかしら? セバーグから言われるんだったら「勝手にしちゃって!」なんていいなあ。

追記2:ジーン・セバーグがフランスの女以上にフランス女なアメリカ女であるところが良かった。彼女、何者?

追記3:「パリにいるパリの女が綺麗じゃないのと同じように、スウェーデンにいるスウェーデン女もたいしたことない」とかいうセリフが印象的だった。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ペンクロフ[*]

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