ドラマについての完成度、役者の演技についてはいうまでもない 気がします。皆さんの仰るようによく出来ている。だから 本作のテーマについて自由に考えてみます。

「性」については、人間の正常異常の判断が一番つよくでるようです。 例えば獣姦や屍姦のようなんじゃなくても、例えば童貞や処女を 一生守り通すひとでも、人によれば「異常」あるいは軽蔑すべきひと でしょうし、人によれば「聖人」です。とはいえこれは、結構大きな 問題なんですよね。こういうのは悪口にも使えますし、日常会話で 占める割合も多いのですよね。 僕は、ゲイについていうと、否定はすべきでないと理解しても やはり抵抗はあります。

そう考えると性には、自分と同類と異質なものを区別する基準のような ところがあるようです。「性」格の不一致とはいうけれど。

中絶も２度もしたとなると、やはり白い眼で見られますよね。これは 殺人意識のようなのと結び付くからよけいにそうなんでしょうが。 （ストーカー行為というのも、性愛の一つなのかな。） と考えていくと、トルストイじゃないけれど、性は本当に怖いもの だと思います。とはいえ人間はいずれかのありかたで、性に 向かい合わなければならないわけで、これは動物と人間の大きな違いの 一つだとも思うんです。

大抵の人は自分は正常だ、と考えているんだけど、こればかりは 正常と異常は紙一重だと感じます。だれでも性に向かい合って、 自分を規定しざるを得ない点では同じなんですよね。

生まれてくる子供がかわいそうだ、という意見も判るけども。 そんな単純な問題でもないように思います。どんな子供でも 悩むことはあるでしょうし・・・。それがおかしいと思う人は、やはり 彼らを「異常」と考えているんだと思う。あるいは社会が「異常」 というレッテルを貼ると信じているんでしょう。

ところがこのときの「正常・異常」自体が、疑わしいということを 忘れるわけにはいかないと思うんです。（もちろんストーカーのような 迷惑行為には自分を主張すべきですが。）

彼らの未来については判らないし、幸福不幸を判定するような偉そうな 立場に僕はいないけれど、３人が鍋を前に笑っている最後のシーンに 性の根源的な根拠があるということを、感じました。