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[コメント] 奇談 キダン(2005/日)

諸星作品からあの作画タッチをとってしまうと、諸星作品の「異界を見る目」がとても醒めてることに気づいてしまう。そういう意味で原作に忠実な作品だと思う。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







人が計画して行った純然たる事件を、おどろおどろしく描く横溝正史のような世界の対極で、不死の人間たちの塊が、樹木のように聳え立つ奇怪な光景を見つめながら「あれは何だったのだろう」なんて淡々と言っている世界の面白さ。地味にはなってしまったが、はったりホラーでない映画にしたことは良かったと思う。「みんなでパライソさ、いくだ!」っていう異様な明るさは、怖がらせることを目的としたホラーでは不可能だし、ファンタジーにしては異形趣味が過ぎる。諸星作品でなければ到達しないオチだ。

映画「化」として良く出来ているし、面白いのだが、その面白さはまぎれもなく諸星大二郎のマンガから来ているものなのだ。結局のところマンガのほうを読みたくなってしまうのだった。

余談だけど、70年代の感じを丁寧に再現していたけど、あのアスファルトの道路だけは悔やまれる。まだそのころは田舎道はそれほど舗装に侵食されていなかったように思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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