トロイ戦争の悲劇を描いた映画｡

トロイ軍とスパルタ軍との壮絶な戦闘､トロイの木馬から現れたスパルタ軍によるトロイ王国の侵略など､原作などの予備知識がなくても､引き込まれるストーリー展開｡内容的にも非常にわかりやすく､実にテンポよく描かれていて素晴らしい｡この手の古代のギリシャ時代の作品にあまりなれていない人にはわかりやすくていいのではないかと思う｡

トロイやギリシャの街並みも50年代の映画としてはよくできていると思う｡戦闘シーンもヒロイックな人間ドラマを作らなかったことが逆にリアリティがあってよかった｡

ヘレン役ロッサナ･ポデスタはパリスが惚れるのも無理はないだろうというぐらい美人で､素晴らしいキャスティング｡また演技面でも､トロイに行ってもトロイやスパルタの平和を願ったり､スパルタ側がヘレンを引き渡すよう要求したときも自分の意思で要求に応じたりと､常にトロイとスパルタの安全を考慮しているところなど､ヘレンの誠実な面も上手く表現している｡

全体的には､わかりやすいストーリー展開で純粋に楽しめるが､戦争シーンでの人と人が殺しあうという殺伐さが弱いため､ストーリーに重みがなく､思ったほど感動要素がないのが難点｡