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[コメント] 女囚701号 さそり(1972/日)

おっさんの囚人ものを若い女因にしただけで十分革命的
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







警察や刑務所看守(ついでに自衛隊も)ってのは冒頭にばたばたとはためく日の丸の下で暗躍する犬、という明確な主張が全編に渡って貫き通されている。時代的になんでも反権力だったらかっちょええラブ&ピース時代だったのでそこで終わるのが普通なんだがこれは違う!

この(反体制の)意気込みは何も脚本だけではなくて映像の工夫にも見られる。この時代のスタンダードな撮り方や演出に対して「じじい達はこうだろうが革新派の俺ならこうする」的な過剰演出が随所に見られた。これは案外今となっては笑える工夫だったりするのだが(ロックでいうギター燃やして祈って壊してハウリングみたいな)これを立て続けに見せられると単純に楽しい。やっぱ意気込みよ。

桃タロウ電鉄のキング・ボンビーのデザインを考えた人は絶対この映画の風呂場のあの顔がトラウマになっているとみた。

話の回想に回転扉を使うとは。映画の利点(編集)をあえて使わないという基本姿勢がいい。

時代が一回りしてきて髪型やメイクが全然違和感を感じない。ハッ、っという事はそのうちぶりっ子髪型が流行りだすのか?

看守にロン毛がいるのはダメだ。体制側は73とかスポーツ刈りでないと。ぎりぎりパンチ。

にしても夏八木勲は堂々としていて全然腹が立たないのが残念だ。やっぱ悪役といったら作り話でこそこそと世論工作する奴だろ。もっと敵役を卑怯者にしないと復讐のシーンがピークにならない。そこが不満だったぐらいだろうか。十分な力作だった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Myurakz[*] けにろん[*]

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