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[コメント] ビートルズ/イエロー・サブマリン(1968/英)

この映画は不当な扱いを受けている。と、感じるのは金沢明子のせいなのだろうか。
ピロちゃんきゅ〜

ブー。不正解。というか、それもあると思うけど。

答えは「ビートルズの」というレッテル。

ビートルズファンである自分が言っても説得力が無いわけだが敢えて言う。というか、言わなきゃ何にも始まらないわけですし。 この映画は「ビートルズの」じゃなくても充分に傑作な映画だ、と真剣に思う(但し、ビートルズ(クラス)の曲は要る)。ネタじゃないっす。正直いって、この映画からビートルズという存在を抜いて考える事は不可能な訳だが、しかし、誰もがそうであるように、この映画を語る時はまず最初に「ビートルズ」というモノを語ってしまうわけだ。ジブリの宮崎作品が、作品そのものを語られる前に宮崎駿、あるいはその凄まじい人気に対して語られるのと同じようなモンだろうか。元からファンの人は、ビートルズそのものへの思い出も含めてついつい語ってしまうし、ファン以外の人からみれば、キャラクタとしてビートルズを使っている故、端的に言ってアイドル映画扱いをするわけで、作品そのものの評価にかなりのフィルターが掛かっていると思っていいだろう。第一、見ないって話もあるが。喩えていうなら、チェッカーズの『CHECKERS IN TAN TAN TANUKI』をファンであれアンチであれ、冷静に見れるかどうかってのと近い。…か?ちょっと違うか。ま、でも言いたい事は判るベ?

この映画が微妙なのは、「ビートルズの」ファンじゃない人は当然として、ファンからしても、もろ手を上げて人気があるわけではない点だ。なぜなら本人達の創作意思がそこに無いからだ。更に言えば、「ビートルズの」と言っても、特に前期(つまりアイドル時代)のファンからすればサイケなビートルズはそうでもないって人が多いわけで(ま、自分なんかは前期(「ラバーソウル」以前)は逆に好きじゃないんだけどね)、主に後期のファンからしか絶賛されなかったりする。オリジナルのアルバムが不完全だったという事もファンに与えた影響は大きかったかもしれないし、『マジカル〜』の影響もあるかもしれない。ファンから見ても「ビートルズの」と付けるのには抵抗がある映画と言えるだろう。逆に、ビートルズの足かせを外してもらった方が「伝説のアニメ映画」になったと思うのだが、まあ、仮説に過ぎない。

冷静に見れば、サイケが余りにも時代的で古臭くも見えるし、ビートルズの4人4キャラをファンが知っているという前提の元に作られた会話だったりするわけで、キャラに魅力を感じなければ(要はビートルズ嫌いなら)文句の1つも出るって辺りだろうか。セールス的にビートルズをモチーフとしたのは、かのイギリスにおいてもアニメという業界には偏見なり先入観があったからなのかな?とか思ったりする。世界の共通認識として「アニメは子供向け」だったと思うのだが、それを打破しようとした最初のアニメ映画だったのだ(なんて、大ボラ吹き過ぎですか?)。イギリスのアニメ事情を全く知らないので今現在どうなってるかもしらないのだが、この映画を見る限り、当時のイギリスアニメ関係のレベルは非常に高かったのではないかと思わせる。同時期、日本では新進気鋭のアニメ作家として高畑・宮崎らが登場し始める時期でもある。高畑監督の『ホルスの大冒険』を見れば、いかに文化の熟精度が違っていたかが判ろうというものだ。

あと、蛇足に近いんですが(というか、このレビューが蛇足だというツッコミはしないでくれ)、バッキャロー'66様が書いている個人的な思い出を読んで、似た経験の人もいるんだなぁと思った次第です。

ちなみに、バッキャロー'66様が見たのと同じTV番組だと思うんだけど、自分の場合はテレビのまん前にラジカセを置いてアナログ録音した吹き替えの脚本を、しばらくは何度も聞き返しました。なんで、未だに彼らビートルズ本人達の声で喋ってくれる字幕よりも吹き替えでないとしっくり来なかったりします。しかしなぁ、オレもベータマックスがあるような家に生まれたかったぜ!でも当時から電子レンジがある家だったんだぜ(意味無し)!

リンゴ・スターが林檎を食って「なんか自分を食うようで複雑…」(注:セリフはうる覚え)なんて当時は爆笑したんすけどね。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)4分33秒[*] ぱーこ[*] 町田[*]

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