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[コメント] あの頃ペニー・レインと(2000/米)

ミュージックシーンにぶらさがる夢見がちな少年少女の感性が美しく描かれている。ストレートかつスウィートでナイーヴなティーネイジのラヴ。夢や恋を追う姿は美しい。けれど、そこに批判はない。
カフカのすあま

いい意味でも、悪い意味でも、「美しいひととき」。いや、「美しすぎるひととき」なのである。切り取られた時間は、ヒネクレた見方が加わることもなく、内省されることもなく、あくまで美しいものとして最後まで語られてしまう。つまり、自分の後姿を振り返る視線に批判性が感じられないのだ。この人の中では、この経験は、嫌悪感や恥ずかしさや、あらゆるネガティブな感覚を超越したところに美しく存在しているんだろう。

舞台となる時代設定は作り手が十代を過ごした60年代から70年代。リアルタイムでこの時代を経験した者はすでに現在40代。その時代を振り返り、考えを重ねる時間は十分にあったはずであり、意地悪な見方や、今だからわかる「バカやってたなあ」という自虐的な視線もあってよかろうと思うのだが、語られるのは「すべては輝ける美しき存在」の過去。甘い感傷。私はその「美しさ」にこそ苦言を呈したいのである(←おおげさ)。

過去を懐かしく振り返りながらも、光も影もあるものとして魅力的に語ることは出来ると思う。

ということで、これは個人的「青春のうしろ姿特集」には入れたくない一本。

でも、ペニー・レインの姿をみているうちに、青春の一頁を飾った名作、「P.S.元気です、俊平」(なつかしい)の桃子さんがダブってきた。共通する何かがあるんだろうねえ。

ああ、青春。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)tredair[*] けにろん[*] KADAGIO[*] ボイス母[*]

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