変につくりこんだいかにもなセットとか小馬鹿にしてんのか！と叫びたくなるような面白くもない貧乏ギャグなんてやめてほしかった。 そんなサービスはしてくれなくても、こっちは勝手に笑うし泣くっつーの。

もう、その時点でもこれは「原作のコアとなっているもの」を見失ってる。で、その「コア」を失った「ぼくんち」なんて、はっきり言ってほとんど魅力がない。だったらもっとエンターテイメント性たっぷりだったり映像美だったりな面白い企画がごまんとあるはず。だから、私にはこの映画を評価することなんてできない。

だいたい、どうにもこうにもキャスティングが悪すぎる。観月ありさも、かのこ役をやるんだったらチチぐらい出してほしかった。ムギューっと二太をはさんでやれよ、とか。吸わせてやれよ、とか。そういうのが違和感なく美しい（という表現もナンだが）のが「ぼくんち」なのに、パンツさえ見せないというのはなんなんだろ。あれじゃー、ただのキレイなおねえさんじゃん。「神の子」じゃないじゃん。かのこはいわゆるマグダラのマリアで、でもそんな自覚はまったくなくて、だからこそあったかいのに。豊穣な生を感じるのに。

サイバラの「映画化なんて祭だ祭！」という割り切った潔さと意外な演技力には大喝采だが、「二太の母は実はかのこで…」という映画内設定も含め、至る箇所でいたたまれない気分にさせられてしまうばかりだった。