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[コメント] ラブレター(1981/日)

高橋恵子の氷のような美貌が存在感を解き放つ淫逸で陰鬱でアンニュイな作品。ヒロインの繊細な精神が脆く壊れてゆく様や日常の中の不安定な感情が見事に映像化されている。フランス映画のような風合い。
TOBBY

一人の男に人生を翻弄されるヒロインは、描き様によっては芯の無いどうしょうもない女であるが、高橋が隙の無い超然とした美貌で、その哀しみと愛に支配されてしまう様を無理なく魅せる。彼女を虜にする小田を演じる中村も暴力的だったり、単なる二枚目や権力を振りかざす男ではなく、詩人であるカリスマ性が自然に出ていて高橋が振り回され性に奔放になって行くのがリアル。彼女の存在を面白く感じない年増の女として隣のアパートの管理人役で加賀まりこが登場するが、彼女の存在は最初から見るからに意地悪でツマラナイ。もっと見た目は優しく美しいのに、実は強かという方がヒロインへのダメージも物語の幅も複雑になったはず。反面、加賀の別れた夫役の仲谷の存在はユニークで描き方によってはもっと面白く描けたような気もする。微細な精神状態によって様々な表情やスタイルを高橋は惜し気もなく披露するが、喫茶店で白昼夢に惚ける彼女も美しいが、屹然とした喪服姿の美しさも筆舌に尽くしがたい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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