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[コメント] ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001/米)

監督の憧れるサリンジャーの文学性には遠く及ばず。アーヴィングの大衆性の方がまだ近い。サリンジャーには登場人物を性格で描き分けられる筆力があり、この監督は登場人物を単に奇抜な設定で描き分けているに過ぎない…。
TOBBY

本来、家族がテーマのブラックな世界観は嫌いじゃないが、本作はファッションや形から入ってしまい、ポーズが鼻につく作品になってしまっている。それでも冒頭の「Hey Jude」に合わせてペーソスたっぷりに綴られる子供たちの幼少期の描写は上手に成功している。が、いちいちチャプターで区切っての編集の歯切れの悪さが、まず引っ掛かっる。全体を見渡しても前半の勢いが中盤から失速しだし、家族の絆というテーマに向かって強引にまとめようとする流れが後半に垣間見え、ウィットとユーモアも共に薄れてしまう。それでもチープな作品に至らなかったのには俳優たちの好演が大きい。余裕の存在感でユーモラスさも魅せるアンジェリカ・ヒューストンが、さ・す・が!。ヒューマンな演技のハックマンと、いつになくストイックさも見せるスティラーの親子像も良い。パルトロウも彼女の作品ではベストワークに近い。子供たち3人の造形にジョンジョン、サガン、ボルグが重なる。普段海外小説を読んでいる人には新鮮さも中身の深さも感じられず物足りなさに包まれる作品には違いない。多様な人物たちの人生を描くには監督は、まだ若すぎて経験不足だったみたい。今後への期待を込めて★3つ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)Orpheus Myurakz[*] Pino☆[*] ボイス母[*]

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