コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ノウイング(2009/米)

白い紙一杯に数字を埋めてゆく少女は美しい。知ってもどうにもならないけれど、もがかざるを得ないニコラス•ケイジが切なく印象に残った。
YO--CHAN

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前半、無意味に見えた数字の羅列が、徐々に意味を持ったものになってゆく描写が素晴らしい。

本作は、一応「ごく少数以外全員滅亡」だが、ある意味ハッピーエンドではないか。家族全員が和解して、子供は救われた事を信じて、一緒に死を迎える事ができたのだから・・・個人的にはそう感じた。

主人公は、かつて何も知らなかったばかりに、妻の死の時にポケーっと草むしりをしていた事を悔いていた。その過去が、執拗なばかりの「知ること」へのこだわり、綿密な「数字」の謎解きの原動力で、心を鬼にして我が子を送り出す行動につながった。

本作は外面的には「ちょっと安物の終末ものSF映画」だけど、見方によっては主人公・一人称の心象映像という側面というか、そう思って見た方が面白い。などと、DVDの監督の説明字幕(ものすごくアバウトかつ映像と非同期な解説だった)を見ながら思った。

(余談)

 勝手な予想だけど、途中まで「あの人達」の正体は、「未来人」かなと思ってた。

 「そうか、彼等が声を出して話さないのは、不用意な発言をしてタイムパラドックスを引き起こさない為に声帯を抜かれてるからなんだな」とか・・・全然外れてましたねw

(余談2)

今にして思えば、本作では何故か「何もできなかった」部分に感銘している。 巨大フレアだからって、今から南極にエンジンつけて地球動かせる訳じゃなし、小惑星を放射軌道に挟んでフレア避けるわけでもない。 飛行機事故を未然に防止したりできないし、地下鉄事故に至っては少し騒ぎを大きくしてしまった気さえする。第一、フレアの件は、本人が真っ先に逃げても無駄って知っていて、それを隠してるんだから。

そりゃあ巨大な視点から見れば人間なんてゴミみたいなもんで、太陽が地球にちょっとフレア吹いたって、エンジンのピストンが一往復する様なものかもしれない。シリンダーの中で何が起こっても出力には大差ないって言われそうだ。

でも、だからと言って「知る」のは無意味な事だろうか? 夫がかけつけても妻は死んだかもしれない。滅亡前に集まって土壇場で父子が和解したって、それはピストンを眺める存在にとってどうでもいい事だ。けど、シリンダーの中の塵に過ぎない者にとって、そのなんの役にも立たない事は、逆に大事な事ではないのか、と思える。なんか変な言い方だけど•••

ついでを言うと、いかにも作り物ぽいラストの楽園惑星も、わざとウソくさくしている様に思えるのだ。前出の飛行機や地下鉄事故の撮影技術の高さからみて、この楽園描写はどこか不自然だ。父の希望的観測、幻想だったんじゃないのか? 実はあのシーンの直前には、死を目前にどこかゆったりとしたニコラス•ケイジの瞳の超ズームアップがあったのでは、などと勝手に妄想してしまうw

あと、監督、ラストのベートーベンの音楽って、『未来惑星ザルドス』のラストと妙に被るんですけど(意味も) •••もしかしてファンなんでしょうか。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)クワドラAS BRAVO30000W![*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。