コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] チャイナ・シンドローム(1979/米)

初見時は低予算パニックものの佳作として見たのだと思う。チェルノブイリがあり、東海村があり、どんどん再見しづらい作品になっていった。漸く再見して、寧ろいま強く訴えて来る名作。☆4.9点。
死ぬまでシネマ

原発の制御システム描写に安っぽさを感じたひとも居たようだが、全くそんな事は無い事をフクシマ後の我々は知っている。(「今はもう違うだろう」とか言うひとは、現在稼働してる原発の建設年を調べてご覧なさい)

演出や役者の演技の「バランス感覚」を評価したひとが多かった様だが、私も原発反対運動の描写に冷静な批評性を見た。幼子の写真を掲げる母親達、黒い紐で自らの口を塞ぐパフォーマンス、公聴会の入口でプラカードを持って小さな円でグルグル回る人々。そうせざるを得ない苛立ちを表しながらも、どこか冷めた目線を感じる。

人智を超えたエネルギーを、欲望に塗れた会社人間が管理するのは無理だ。映画内でも、観客からさえも「神経質症」等と言われたジャック=レモンの様な人間の行動が無ければ、事態は容易に最悪まで行ってしまう。その事が良く解る。

ウクライナ戦争下で原発の安全が危惧されている。テロの対象になり得るとして、原発施設への侵入可能性は映画の頃と今は全く違うだろう。しかしそれは一方で、破局を阻止しづらくなったという面もあるのではないか。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。