コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ゴジラ(1954/日)

理不尽だ、本当に理不尽だ・・・。
ゆーこ and One thing

 この「ゴジラ」を観ると、このジャンルで傑作を撮ることは不可能ではないかと思わせるほど素晴らしいです。特撮怪獣映画のスタートにして「巨大生物の出現→迎え撃つ人間達のドラマ→怪獣が出現し、町を破壊して去る→2度目の怪物の襲撃VS迎え撃つ人間の兵器(or怪獣)」という完成形が既に出来上がっています。

 一言で言うと理不尽、とにかく理不尽です。一体何でしょうか、この無性に空しくて腹立たしい感覚は・・・。ゴジラが東京を徹底的に破壊し、燃えさかる炎にシルエットが浮かび上がる描写も恐ろしいですが、ゴジラに踏みつけにされる名もなき民草の叫び(その代表が新吉少年の「ちくしょう、ちくしょう・・・」)、人間の無力さをいやというほど見せつける演出力に脱帽しました。

 禁断の兵器であるオキシジェン・デストロイヤーを作ってしまった芹沢博士(平田昭彦)の苦悩の描写も、大量破壊兵器への恐怖や警鐘がストレートに伝わってきます。

 とにかく作り手の思いの込め方が半端じゃありません。作品からビリビリ伝わってくるこの緊迫感は、監督や脚本家が実際に感じたものでなければ表現できない様な感覚を伴っています。黒澤明の言う「本当の空腹を知ったものでなければ、空腹というものを演じることは出来ない」と一緒でしょうか。

 ほぼ完璧といえる作品ですが、科学の考証が明らかにおかしかったり(恐竜が滅んだのは300万年前というのは、何かの聞き間違いかと思った)、模型の造形がまだまだしょぼい(横転する消防車やゴジラを迎撃する戦闘機は、どう見ても本物に見えない)部分に不満はあります。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)おーい粗茶 荒馬大介[*] 甘崎庵[*] ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。