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[コメント] アンタッチャブル(1987/米)

コメントは出し尽くされてるので、視点を変えて本物のアンタッチャブルとはどんなものかをレビューにて(ちょっと長文です。16.7.23追加)・・・→
ゆーこ and One thing

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







1 アンタッチャブルの構成

 映画だと4人しか登場しないが、実際は10人ほどのメンバーで構成されており、劇中の様に殺害されたメンバーはいない。そのほかにネスの専属運転手等も在籍していた。

2 アンタッチャブルの仕事

 カポネがシカゴ中に張り巡らせていた密造ビール工場を摘発することと(カポネの造った密造ビールは出来が良かったため、彼が高給で雇っていた腕のいい醸造者を逮捕することに心血が注がれた)そのための電話盗聴を主な仕事にしていた。

3 メンバーの年齢

 映画だと分別の付いた大人がアンタッチャブルを構成しているが、実際はみんな若く(20代〜30代前半)、ネスも27歳ぐらいでアンタッチャブルのリーダーを勤めていた。

4 若いということで、カポネを挑発するような血の気が多いエピソードの数々。

 映画でも登場するが、カポネが彼らに賄賂を掴ませようと市会議員を送ってくるが、その実態をデカデカと記者会見を開いて暴露した。

 自分の専属運転手が殺害されたことへの報復として、カポネ一味から押収した大型トラックでカポネの定宿しているホテルの前をこれみよがしに大行進。しかも事前にカポネに直接電話連絡を入れる念の入れよう。これを見せ付けられたカポネは激怒し、ホテルの部屋のありとあらゆるものを叩き壊しまくったという。

 実際に4度ほどネスは殺されかけているが(すれ違いざまに車からマシンガンを撃たれる、ナイフを持った殺し屋に後ろに立たれる、ダイナマイトが車に仕掛けられる)、それにもめげずそのような行動をよくとっていた。

5 映画より凄まじい「バットで撲殺」の真相

 カポネが自分を裏切っている男をバットで撲殺するくだりがあるが、実際は自分を殺害しようとしている殺し屋2人&扇動者を捕まえて縄で縛り上げた末、さんざん罵倒しながらバットで殴りまくり、とどめに部下がマシンガンで蜂の巣にして始末した。

6 腕っ節の強いネス

 一見したところ、柔和なイメージを持たれるネスだが、彼は柔道の使い手であり、週3回は道場に通って腕を磨いていたという。その腕はしばしばギャングの用心棒に対して振るわれた。

7 その後のカポネ、その後のネス

 脱税の罪で懲役11年の刑を受けカポネは収監されたが、特別待遇を受け、電話も面会もほぼ自由。刑務所の中から相変わらず組織を動かした。

 それを知った当局はカポネをアルカトラズ刑務所に移送。風呂場の掃除係として意外にも従順に刑に服していたが、若いころに患った梅毒が進行し、痴呆や精神錯乱の症状が現れたために釈放。1947年に死去。

 カポネを刑務所送りにした手腕を買われ、ネスは各地の警察の要職を歴任。警官の腐敗追放、交通事故の撲滅、非行少年の更生などに尽力した。

 最終的には若いころからの夢であった実業家に転進するが、あまり商売上手ではなく、彼の栄光を書き記そうとオスカー・フレリーが訪ねていったときも生活は苦しかったという。

 共著である「アンタッチャブル」が完成する直前に54歳で死去した。

 エリオット・ネス/オスカー・フレリー著「アンタッチャブル」、オスカー・フレリー著「アンタッチャブルの活躍」(共に早川書房)から

(評価:★5)

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