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[コメント] ラスト、コーション(2007/米=中国=台湾=香港)

まあ、「Caution(警戒)」は分からんではないが、「Lust(肉欲)」が何とも中途半端。かろうじてスパイ映画の体裁は保ってはいるものの、前半の純愛青春パートと後半の性愛肉欲パートの突込みがおざなりで、カタチだけのドラマはあっても人間がどこにもいない。
ぽんしゅう

戦時の抑圧の下での、とどまるところを知らぬセックス描写と聞けば『四畳半襖の裏張り』(73)、『愛のコリーダ』(73)、『実録・阿部定』(75)、いやせめて『愛の嵐』(73)をと、久々の性愛映画巨編登場かと期待した俺が悪かったのか・・・。

世間の評判(まあ、ほとんどが宣伝だろうが)に反して、セックス描写の淡白なこと。男と女の交わりは、そのカタチだけがカメラで切り取られ、肉体と精神の合体と離反の繰り返しが生む陶酔はどこにも写っていなかった。一度でも、好いセックスしたことがある人ならわかるでしょ。俺の言いたいこと。これ以上は、はばかられるので書きませんが。

いくら新人とはいえタン・ウェイの顔ばかりつないで、何か演技でもさせているかのように観客を誤魔化す演出も、少なくとも性と愛、肉体と精神、理性と野生を描こうと志した者なら封印すべき手法であろう。「はい、悲しい顔して・・」、「はい、次は困った顔して・・・」では、人の心までは写らんぜ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ナム太郎[*] リア 3819695[*] けにろん[*]

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