コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] サイン(2002/米)

こ、これは・・・私の解釈→
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







9・11の鎮魂のドラマ。宇宙人は付け足し。人間には2種類いる、の話から、ははあそういうことか、と思った。目の前で瓦礫の下敷きになってなすすべなく、最愛の相手を見殺しにするという経験を持った人間が神を信じられるか、というドラマと見た。この妻を酔ってひき殺した犯人がアラブ系。宇宙人はTVのニュースでしか姿を現さない。そのTVは子供に見せては行けない。9・11の事件直後のアメリカの一般家庭の様子であろう。

当時ニューヨークにいた知人のメールによると、1週間ほどはTVもつけずカーテンを締めて閉じこもっていた、という。わけのわからない不安が押しよせてきて、普通に暮らしているようで、どうにも気持ちのやり場がなく時間をしのぐしかなかったともいう。

宇宙人が来るというのに、台風が来るみたいに窓、ドアを打ち付けて、最後は地下室に立てこもる、というのは侵略ものとしては異色である。銃を持って戦うのが通例であろう。敵をやっつけるのに、妻の遺言である「バットを振れ!」というのはいかにもアメリカ的な落ちである。野球はアメリカで一番大衆的なドラマを提供している。

ラスト近く、宇宙人をやっつける方法が見つかった、とTVが報じる。それは「中近東」でみつかった、と。ここにもアラブがほのめかされている。喘息のため呼吸ができず、そのために毒を吸入することなく助かる、という逆説はこの監督らしい。ここに神がいる。障害の中に救いを見る、というのはシックスセンスのテーマ(異能者の社会参加)にも通じる。

HGウェルズの宇宙戦争にも似た結末で締めるヘボサに比べて、描写は顔のアップを多用し、あくまで真面目、重厚である。アメリカ人はこの作品に、9・11以降のやりばのない気持ちの納めどころをみたのではないだろうか。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)おーい粗茶[*] トシ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。